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【簿記超入門】固定資産と減価償却

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簿記の話しの第3回です。
今回は「減価償却費」の話し。

前回の第2回は、日商簿記3級のワクを超えた話しでした。
そんなワケで今回は、前回ではなく、前々回(第1回)の続きです。

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”ORE.png” name=”タナカ”]山梨県で税理士として開業予定のタナカです。
十数年、簿記とはつき合いがありますが、文章化するとまだまだ学びがあります。[/speech_bubble]

 

 

建物(固定資産)を買った場合

建物を買った場合、例えば仕訳はこうなります。

(建物)40 (現金)40

前々回の復習になりますが、現金勘定が貸方(右側)のときは、現金の減少になります。

復習【簿記超入門】日商3級レベルが一番大事、だからこそ最初にB/S・P/L

建物は資産です。
今回建物を建てた(買った)ので、建物勘定が借方(左側)にきます。
(資産の増加を意味します。)

現金も資産ですので、借方(左側)も貸方(右側)も資産ですね。
資産全体の増減はないが資産の名前だけ変わった、という風にも読めます。

建物完成の貸借対照表(B/S)

 

建物完成の貸借対照表(B/S)

 

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”ORE.png” name=”タナカ”]図では現金を2段書きしていますが、実際はもちろん「60」です。
次に、建物がどのように費用化されるかを見ていきましょう。[/speech_bubble]

 

 

建物の耐用年数に渡って費用化する

建物は、「一年だけ仕事に使って終わり」というものではありません。
何十年かの間、使い続けるのが普通です。

例えば建物の寿命を50年と見積もったら、50年に分けて費用になります。

ここでは仮に5年としましょう。
40÷5=8 が費用となります。

仕訳はこうです٩( ”ω” )و

(減価償却費)8 (建物)8

減価償却費は費用です。
費用の増加なので借方(左側)ですね。

前々回のブログのとおり、費用は損益計算書(P/L)の左側の箱を構成します。
(↓上と同じリンクです。)

復習【簿記超入門】日商3級レベルが一番大事、だからこそ最初にB/S・P/L

損益計算書(P/L)

 

貸方(右側)の建物は、資産の減少を意味します。
建物の価値が減少するニュアンスですね。

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”ORE.png” name=”タナカ”]会計上は、建物の耐用年数に決まりはありません。
会社の実情に合わせて見積もってOKです。
ただし、税金の計算となると話しは別。
建物の種類や材料などで、耐用年数が決められています。
一年でいくらまで費用化できるか、決められているということです。[/speech_bubble]

 



[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”ORE.png” name=”タナカ”]【余談】
税金の計算では、年間の減価償却費の上限だけが決められています。
つまり、ゼロでも問題ありません。
一方で銀行は、減価償却費の計上をしない会計処理をキライます。
利益操作されているP/L・B/Sからでは、貸したお金(またはこれから貸すお金)が回収できるかどうか、判断できなくなるためです。[/speech_bubble]
余談ちょっと拡大

銀行の立場からすれば、嫌うのは当然です。
減価償却費を計上しないP/L・B/Sは、その会社の実態を表現していません。
会社(または個人事業主)の都合で操作されているわけですからね。

「会計学」の立場も、減価償却費の操作はNGです。

税法の目的は税金の計算。
会計の目的は適正な財務諸表の作成です。
両者の立場が違うため、このような差が生まれます。
(。-`ω-)

 

 

減価償却は期間対応の費用

会計(=簿記)の考えかたで、

  • 費用・収益の対応
  • 期間の対応

というものがあります。

減価償却費という費用は、期間に対応して計上するものです。

上の例で言えば、建物は徐々に古くなっていくもの。
売り上げが有ろうが無かろうが、日々劣化していくはずです。

そんな理由から、毎期一定の額を費用化します。
費用化が期間(時間)に対応していますよね。
٩( ”ω” )و

 

ついでに、費用・収益の対応について説明させていただきます。
分かりやすいところで、「商品の売上げ」と「商品」を例にしましょう。

個人事業主だと1月から12月(暦年)が一つの期です。
法人は決算日を自由に決めることができますが、ここでは1月から12月を一つの期とします。

一つの期中(当期中)に、売れた商品の売値の合計額が売上高。
この売上げによって、顧客に渡った商品の仕入値の合計額が費用となります。

期末までに売れずに残った商品は、当期は費用化されません。
来期以降、売れた期の費用となります。

このように、収益と費用が個別的につながることを「費用・収益の対応」と言います。

 

 

減価償却費の計算方法

上の例では、40の価値がある建物を5年に渡って均等に費用化しました。
この「40÷5」という算式のように、毎期一定の額を減価償却費とする方法を「定額法」といいます。

実はこの定額法という方法以外に、代表的な償却方法として「定率法」というものがあります。
建物などの資産のうち、まだ費用化していない部分に一定の「率」を乗じて減価償却費を計算する方法です。

  • 1年目 40×0.4=16
  • 2年目 (40-16)×0.4=9.6
  • 3年目 (40-16-9.6)×0.4=5.76
  • 4年目 (40-16-9.6-5.76)×0.4=3.456
  • 5年目 (40-16-9.6-5.76-3.456)×0.4=2.0736

こんな具合に、未償却の部分に償却率を乗じていきます。
最初のうちは償却額が大きく、徐々に償却額が少なくなっていきます。

(ちなみに、円未満の端数は切り捨てです。この例の場合の単位は、「万円」とか「億円」などと考えてください。)

 

 

まとめ

さてさて、なるべく分かりやすく書いたつもりですが、いかがでしたか。

建物など、高額なものはすぐには費用化されません。
仕訳で考えると、まずは現金という資産建物という資産に化けます。

建物という資産は、時間の経過とともに古くなる(劣化する)。
この「古くなる(劣化する)」ということに着目して、費用としていくのが減価償却の考えかたです。

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”ORE.png” name=”タナカ”]費用を増やして、建物の価値が下がる。
仕訳も、その実態を表現してくれていますね。
借方の「減価償却費」は費用の増加、貸方の「建物」は資産の減少です。[/speech_bubble]

 

次回【簿記超入門】普通預金と当座預金のちがい

 

【執筆後記】

定率法(200%定率法)の「率」の求めかたを、今さらながら勉強できました(笑)
定額法の「率」に200%を乗じるだけです。
上の例の5年だと、1÷5×200%=0.4 です。
いやー、知らなかった。
(;^ω^)

【昨日の一日一新】

新年度の檀家総会(と、ありがたい厄除けみたいな行事)

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