「繰越欠損金の期限切れ」に要注意
スポンサーリンク
法人税の世界では、赤字(欠損金)を将来の黒字と相殺できる
**「繰越欠損金」**という制度があります。
ただし、この制度には
“使える期限” があることを忘れてはいけません。
特に、過去の税制改正が絡む欠損金については、
見落としや勘違いが起きやすいポイントでもあります。
(所得税にもありますが、今回は法人税の話に限定します)
現在のルールをおさらい
現在の税制では、次の要件を満たす場合に限り、欠損金の繰越控除が認められます。
- 青色申告法人であること
- 各事業年度開始日の前 10年以内 に開始した事業年度で生じた欠損金であること
つまり、原則として
「欠損金は10年間、黒字と相殺できる」
という仕組みです。
ただし注意:古い欠損金は「9年」ルール
ここが要注意ポイントです。
税制改正により現在は繰越期間が10年になっていますが、
平成30年3月31日までに開始した事業年度に生じた欠損金
→ 繰越期間は 9年
となっています。
このため、
古い欠損金だけが「9年ルール」
で動いているケースがあり得ます。
具体例で考えてみましょう
事業年度が 4月1日〜3月31日 の会社を例にします。
「平成29年4月1日〜平成30年3月31日」に生じた欠損金は、
- 繰越1年目:平成30年度
- ⋮
- 繰越9年目:令和8年4月1日〜令和9年3月31日
つまり、この欠損金は
令和9年3月31日で期限切れ になります。
そして今現在、多くの会社が
「期限切れ直前の期」
にいる可能性があります。
期限を過ぎるとどうなる?
もし、今期・来期で使いきれなければ
→ 税務上は切り捨て
になります。
しかも厄介なのが、
- 税務上は使えない
- でも 決算書上は赤字が残る
という点です。
節税にもならず、
財務内容だけが悪く見えるーー
そういう状態です。
黒字が足りない場合の「益出し」検討
本業の利益だけで相殺できれば問題ありません。
しかし、そうでない場合は 事前に対策 を考える必要があります。
例えば、
- 役員報酬の減額
- 役員借入金の債権放棄
- 含み益のある土地・有価証券の売却
- 生命保険の解約・払済
※ 必要な保障を損なう対応はNG
など、状況に応じた「益出し」を検討してもよいかもしれません。
なぜ見落とされやすいのか?
繰越欠損金の期限切れは、
- 日常的に起きる論点ではない
- 税制改正でルールが変わっている
- 気づくのが「申告書作成時」になりがち
という特徴があります。
申告書を作っている時点では、
もう前期に戻って対策を打つことはできません。
まとめ:一度、必ず確認を
過去に繰越欠損金がある会社は、
「この欠損金、いつまで使える?」
を一度、必ず確認してください。
期限切れになるケースは多くありません。
しかし、多くないからこそ対策されていない ことも多いのです。
特に繰越期間が「9年 → 10年」に変わった影響は、勘違いが起きやすいかもしれません。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

本日記
昨日の「勝間家電」もあって、そろそろスマホの買い替えを検討…
と思うのですが、高性能なスマホってどう考えてもわたしには不要です。
…というのは間違いで、高性能なスマホを持つことで行動が変わるのかもしれませんね。
今日のラジオ
●田中みな実 あったかタイム