社長ひとりの忘年会でも福利厚生費?その境界線をわかりやすく解説
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年末になるとちょっと気になるのが「忘年会の会費は福利厚生費になるのか?」という問題です。
「忘年会はどんな格好でも福利厚生費でOK!」
自由参加型にした結果、社長だけになったとしても「福利厚生費でOK!」といった情報も見かけます。
しかし実際、税務の実務ではもう少し慎重に考える必要があります。
今日は税理士目線で、
“社長ひとり参加の忘年会が福利厚生費になるかどうか”
を、わかりやすく解説します。
■ 結論:認められるケースはあるが「条件つき」
まず結論ですが、
- ✔ 条件を満たせば福利厚生費として認められる可能性あり
- ✖ 条件を満たさないと交際費(あるいは役員貸付金)のリスクも
というのが実務的な判断です。
カンタンに「社長だけでもOK!」と断言できるほど単純な話ではありません。
■ そもそも福利厚生費とは?
福利厚生費は 従業員のための支出 が前提です。
「従業員が享受できる状態」になっていることが必要ってことですね。
なので、
社長だけの飲食 → 役員給与だ!
というのが税務署の基本姿勢でしょう。
(あるいは「役員貸付金」「交際費」ということも考えられます)
■ 社長しか来なかった忘年会はどう扱われる?
● 福利厚生費として認められるケース
以下すべて満たしていれば認められる余地があります:
- 全従業員に案内した(通知の証拠あり)
- 自由参加である(強制でない)
- 結果的に参加者がいなかっただけ
- 費用が社会通念上の範囲
→「従業員のための忘年会として企画したのに、結果的に社長ひとりだった」
という状態です。
■ 逆に、福利厚生費として認められない(役員給与などになる)ケース
次の要素があると、役員給与(あるいは交際費や役員貸付金)扱いされやすいです:
- 実質、社長の飲み会である
- 従業員への案内が形式的・後付け
- 日程があまりに社長都合(従業員が参加できない前提)
- 毎回社長しか来ない
- 店のチョイスが完全に社長の趣味
税務署は“実態主義”なので、名目より “中身” を見ます。
■ 実務として安全にするためのポイント
以下を徹底しておくと、税務調査でも説明しやすくなります:
- 全従業員へ案内した証跡を残す
メール・社内チャット・掲示物の写真など - 「自由参加」であることを明示
強制だと逆に問題になることも - 開催目的を福利厚生として記録
「従業員慰労のための忘年会」と日報や稟議に残す - 参加者が社長だけになった理由をメモ
体調不良、家庭の事情、繁忙、など
■ まとめ:
社長ひとり参加の忘年会は「状況次第でセーフ」「状況次第でアウト」
上記のような「ポイント」ナシに
「社長ひとりでも福利厚生費でOK!」
と断定するのは危険です。
あくまで、
従業員に参加機会を与えたうえで、結果的に社長だけになった
という実態が重要です。
正しく手当てをしておけば、税務調査があっても説明できます。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

本日記
確定申告の実務本、ネットで注文していたものが昨日届きました。
3年か4年ほど前までは、税理士会がプレゼントしてくれていたのですが。
コロナ禍や物価高を経て、税理士会のお財布状況が悪化したとかで、プレゼントがなくなってしまったのです。
そう考えると、実質的な会費値上げと言えなくもないでしょうか。
いえ、形式的に会費値上げしてしまうのを避けるためか。
一番豪華だったときは「確定申告」「年末調整」「医療費控除」の3冊でした。
(豪華じゃなくて、コロナ禍で研修会が開けなくなって、お金が余ったからだったかも?)
しかし考えてみますと、もらった本はほとんど読むことなく処分していましたねぇ。。
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