【注意喚起】走行距離税・退職金税・通勤手当税ってホント?そんな税ありません!
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最近、とあるSNSで見かけました。
「政府が走行距離税を導入するらしい」
「退職金にも新しい税がかかる」
「通勤手当にも課税!?もう生活できない!」
――こんな、ちょっと過激な“新税”の話題です。
でも、それ、ほとんどが【事実ではありません】。
今回は「走行距離税」「退職金税」「通勤手当税」といった、いわゆる“デマ税”の真相をやさしく解説します。
■ そもそも「新しい税金」は、そんなにポンポン作れません
まず前提として、新しい税金を導入するには法律の改正が必要です。
税制改正は、毎年国会で議論され、法律として正式に決まってから施行されるもの。
「政府が密かに進めている」「こっそり取られてる」なんてことはありません。
■ 「走行距離税」って何?→ 少なくとも今は存在しません
これは、将来の**ガソリン車の減少による“ガソリン税収の減り”**を補うために、「走った距離に応じて課税する案がある」という議論が報道で出たことがきっかけでしょうか。
でも、現時点では:
- 日本に「走行距離税」という税金は存在しません
- 法律にも書かれていません
- 導入のスケジュールも決まっていません
あくまで**“検討されたことがある”というレベルの話**が、一人歩きしているだけです。
■ 「退職金税」って何?→ 退職金にはもともと税金がかかります
これもよく見かけますが、ちょっと誤解を招きやすい内容です。
退職金には「退職所得」という扱いで、すでに課税(所得税・住民税)の対象になっています。
ただし、
- 他の所得よりも軽い税負担になるよう、特別な控除(退職所得控除)や軽減措置が設けられています
- この制度を見直すべきか?という議論が、たまに国会で出ることがあります
→ つまり、「新しく税金がかかるようになる!」という話ではなく、すでにある制度を見直すかどうかの話です。
■ 「通勤手当税」って何?→ 非課税のままです(上限あり)
通勤手当についても、基本的には**非課税(所得税がかからない)**です。
ただし、通勤手段によって上限が決まっており:
- 電車・バス → 月15万円まで非課税
- マイカー通勤 → 距離に応じて非課税限度額あり
(例えば片道10km超で月24,500円まで)
→ 上限を超えた分は課税対象になるので、“一部課税になるケースがある”=“通勤手当税ができた”と誤解されがちです。
■ なぜ、こういう“新税デマ”が広がるの?
SNSなどでの投稿は、印象的なワードが一人歩きしがちです。
特に税金の話題は不安や怒りを引き出しやすく、誤解やデマが拡散されやすいジャンルでもあります。
でも実際は、ほとんどの「新税うわさ」は、
- 法律上、存在しない
- 議論はあっても、導入決定はしていない
- 誤解や意図的な切り取りによるミスリード
というものばかり。
■ まとめ:「新税」の話、まずは落ち着いてチェックを
噂の“税金” | 現在の状況 |
---|---|
走行距離税 | 法律上、存在しない(導入も未定) |
退職金税 | すでに課税対象だが、軽減措置あり |
通勤手当税 | 上限まで非課税。新税ではない |
もし、SNSで気になる税金の話を見かけたら…
「それ、ほんとにある税金?」「法改正、されてる?」
と、一度落ち着いて確認することをおすすめします。
不安をあおる投稿に振り回されず、正しい情報で安心して暮らしていきたいですね!
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日
本日記
ここ3日ほどは夕方過ぎから過ごしやすい感じ。
風が吹いてくれるからですが、これが止まってしまうと灼熱の甲府盆地になります。
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