米国の遺族年金は相続税の対象?― 東京地裁が「課税対象」と判断した判決をわかりやすく解説
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海外勤務の経験がある人が増えている中で、
気になる判決が出ました。
米国の遺族年金を受け取る権利は、
相続税の課税対象になるのか?
この点が争われた裁判で、
東京地方裁判所は
「相続税の課税対象になる」
という判断を示しました。
少し難しいテーマですが、できるだけシンプルに整理してみます。
事件の背景
亡くなった夫は、日本企業に勤めた後、
約12年間アメリカに赴任していました。
アメリカの年金制度では、
- 原則10年以上加入すると老齢年金を受給できる
- 遺族年金制度もある
という仕組みになっています。
夫は死亡時、米国の老齢年金を受給しており、
その後、妻が米国遺族年金を受け取る権利を取得しました。
金額は
- 月額:約1,587ドル
- 年額:約19,044ドル
(当時のレートで約203万円)
でした。
税務署の判断
税務署は、
「この遺族年金を受け取る権利は
相続によって取得した財産とみなされる」
として、相続税の課税対象に含めました。
さらに、その権利の価値を
約3,594万円
と評価しました。
評価の方法は、
- 妻の平均余命
- 年間受給額
- 利率
などを使って将来受け取る年金の現在価値を計算するというものです。
納税者の主張
これに対して納税者は、次のように主張しました。
主なポイントは2つです。
1. 日本の遺族年金は相続税がかからない
日本の
- 遺族厚生年金
- 遺族基礎年金
などは、相続税の課税対象になりません。
そのため、
「米国の遺族年金だけ課税されるのはおかしい」
という主張でした。
2. 年金の価値は正確に計算できない
年金は将来にわたって支払われるものなので、
「現在価値を計算するのは不合理」
という主張も行われました。
裁判所の判断
しかし、東京地裁はこの主張を認めませんでした。
裁判所は、
米国の遺族年金は
「定期金に関する権利」
に該当すると判断しました。
これは、相続税法で
相続財産とみなされるもの
として規定されているもの。
相続によって直接取得した年金の受給権
と考えられるため、
相続税の課税対象になる
と判断されたのです。
日本の年金と扱いが違う理由
では、なぜ日本の遺族年金は非課税なのでしょうか。
裁判所は、
法律に特別な規定があるから
だと説明しています。
- 日本の遺族年金 → 非課税とする特別規定あり
- 米国年金 → その規定がない
という違いです。
この差については、
立法政策の問題
であり、裁判所が判断するものではないとしました。
税理士として気になるポイント
今回の判決で注目されるのは、
国外の公的年金の扱いです。
海外勤務がある場合、
- 海外年金
- 社会保障協定
- 遺族給付
などが絡むケースがあります。
相続税の場面では
思わぬ課税対象になる可能性
もあるため注意が必要です。
まとめ
今回の裁判では、
米国遺族年金の受給権について
相続税の課税対象になる
という判断が示されました。
海外年金は制度が複雑なうえ、
日本の税法との関係も難しい分野です。
海外勤務の経験がある、あるいは、海外勤務中で将来的に日本へ帰国する場合は、
相続の場面でも一度整理しておくと安心かもしれません。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

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