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2026年末で適用期限 セルフメディケーション税制の行方は?

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厚労省は恒久化・上限引上げを要望、見直し議論が本格化

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)は、2026年(令和8年)末で適用期限を迎えます。
厚生労働省は令和8年度税制改正要望で、制度の恒久化や控除上限額の引き上げなど、抜本的な見直しを求めました。
今後は政府税制調査会や与党税調での議論が焦点となります。


セルフメディケーション税制とは

2017年(平成29年)から始まった制度で、スイッチOTC医薬品(市販薬のうち一定の要件を満たす医薬品)を購入した場合に、通常の医療費控除より簡易な手続きで所得控除を受けられる仕組みです。

  • 控除額:対象医薬品の購入額合計-12,000円
  • 控除上限:88,000円
  • 健康診断などの「予防・健康管理」に関する取組みを行っていることが条件

利用は全体の1%未満

令和6年分(2024年)の確定申告で医療費控除を利用した人は約797万人。
このうちセルフメディケーション税制を利用したのは約5.3万人にとどまり、医療費控除全体の1%にも届きません。

制度開始から年々増加してはいるものの、利用率は極めて低い状況。
かくいう私も、セルフメディケーション税制を利用した確定申告書を見たことすらありません。


厚労省が要望する主な見直し

厚労省は、制度の効果検証を経て次のような拡充策を提案しています。

  • 控除上限額を88,000円→200,000円へ引き上げ
  • 対象医薬品の購入額から差し引く金額(現行12,000円)を0円に引き下げ
  • 対象医薬品の範囲拡大
  • 少額(購入費の合計額が12,000円以下)は対象外として事務を簡素化

前回(令和3年度)の改正時は10万円への上限引き上げ要望があったようですが、今回はより大きく「20万円」への増額を求めています。


政府税調では異論も

5月の政府税制調査会では「少額で煩雑な制度を維持するより、OTC類似薬を健康保険の適用外にする方が医療費抑制に有効」といった意見も出されました。
制度の恒久化や大幅拡充に慎重な声もあるため、延長はしても現状維持か、別施策に切り替える可能性も否定できません。


まとめ

セルフメディケーション税制は、

  • 利用率が低い
  • 手続きがわかりにくい

といった課題を抱えています。
制度を継続するなら、より多くの人が使いやすい仕組みに改善することが不可欠です。
令和8年度税制改正の議論次第では、控除上限の引上げや恒久化など大きな変更があるかもしれません。
医療費控除を検討している方は、今後の改正動向に注目しましょう。

田中雅樹(税理士)

●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

 

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