「簡易課税」は中小向けの仕組みなのに…会計検査院が指摘した“抜け道”をわかりやすく解説
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2025年11月5日、会計検査院から、
**「課税売上が多額なのに簡易課税を使って税額を下げている法人がある」**
と公表しました。
これ、仕組みを知らないと「税逃れスキーム」に見えかねない話です。
そもそも「簡易課税」って何?
簡単に言うと、事務負担を減らすために中小事業者向けに設けられた消費税の特例です。
本則(原則)課税では仕入れ控除の計算が細かく必要ですが、簡易課税では業種ごとの「みなし仕入率」を使って計算するため手続きが楽になります。
→ 本来は小規模事業者のための救済制度です。
会計検査院が指摘した問題(噛み砕き版)
調査の主な指摘は大きく2パターンです。
1) 合併・承継で“規模が大きくなった”のに簡易課税を使っているケース
小さな会社が大きな会社を吸収合併すると、合併後の法人の売上は当然増えます。
本来であれば簡易課税の適用対象から外れる場合でも、現行のルールだと適用できてしまうケースがある、という指摘です。
- 対象にした延べ172法人のうち、新設分割承継法人と同様の判定を行っていれば、141法人は簡易課税の対象外になった
- このうち推計できた116法人のケースでは、簡易課税を使ったことで本則課税より納付税額が少なくなった法人が105件あり、推計差額は22億9214万円
2) 基準期間がない法人や特定期間で判断したケース
通常使う「基準期間の課税売上高」以外の指標で判定した場合にも、簡易課税が適用されてしまい、本則より税額が少なくなっている事例が見つかった、という指摘です。
- 基準期間のない法人で代替指標を用いたケース → 全件で本則より低額になっている事例あり(合計で数億円の差)
- 特定期間での売上や給与等が一定額を超えた法人についても、簡易課税適用で税額が低くなっている例が確認された
要するに何が問題?
制度の趣旨(=小規模事業者の事務負担を軽くするため)から外れて“規模の大きな”法人が簡易課税のメリットを受けているケースがある、という点が問題です。
結果的に税負担が軽くなり、本来の制度目的から逸脱している可能性があるため、会計検査院は財務省に対し見直し検討を求めています。
事業者(経営者)として知っておきたいこと
- 合併・事業承継時の税扱いは要チェック
合併や事業承継で売上が大幅に増える場合、簡易課税が使えるかどうか、事前に税理士と確認しましょう。間違えると後で追徴課税や修正が発生する恐れがあります。 - 「簡易課税だから安心」は危険
申告が簡便でも、実態に照らして適用要件を満たすかは別問題。税務調査で争点になり得ます。 - 誤適用が見つかると追徴+加算税の可能性
税務署や監査で「不適切適用」と判断されれば、差額の納付に加えてペナルティが課される可能性があります。 - 事前確認・文書化を
合併後の判定根拠、判定で用いた指標の説明、税理士の意見などは書面で残しておくと安心です。
政策サイドはどう動く?
会計検査院は「制度趣旨に合致するよう見直しを検討してほしい」と財務省に求めています。
今後検討されうる対応例:
- 合併や事業承継時の扱いを厳格化(合併前の売上を合算するなど)
- 代替指標の運用ルールを明確化
- 簡易課税の適用上限の見直し(売上規模の上限を厳格化)
どれが採られるかは今後の政府の議論次第ですが、制度が変われば影響が出ます。
まとめ(短く)
- 簡易課税は「中小の事務負担軽減」が目的
- 会計検査院は、合併や代替指標の利用で本来の趣旨を逸脱する事例を指摘
- 事業承継・合併を予定している会社は、今すぐ税務チェックを
- 財務省での検討次第ではルールが変わるので、税制改正の動きにも注意を
最後に:経営者向けワンポイント
合併やM&Aはビジネスの大きな転機です。
税金に関する「見落とし」は後で大きなコストになります。
早めに税理士と相談して、簡易課税の適用可否や将来のリスクを明確にしておきましょう。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

本日記
ドラクエIクリアしました!
昨日は変身前に2連敗し、対策して今日はあっさり撃破。
しかし変身後にまた勝てず。。
ある程度行動パターン読んでコマンド入れないと…という感じ。
いやしかし、しっかり強い竜王、悪くなかったです。
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