ニガテを “半分、強い” に。山梨県中央市の税理士

暗号資産の税制、何が変わるのか― 令和8年度税制改正大綱をやさしく整理 ―

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暗号資産(仮想通貨)の税制については、
「税金が高い」「分かりにくい」「日本は不利」
といった声が長年続いてきました。

令和8年度税制改正大綱では、こうした状況を踏まえ、
暗号資産を“資産形成に資する金融商品”として位置づけ直す方向性が、はっきりと示されています。

今回は、大綱の中でも暗号資産に直接関係するポイントを、
専門用語をできるだけ避けて整理します。


1. 暗号資産を「投機」ではなく「資産形成」として扱う方向へ(大綱P13)

大綱ではまず、暗号資産について次のような前提が示されています。

  • 暗号資産市場は拡大している
  • 一方で、投資家保護や健全な取引環境の整備が不可欠
  • その整備を前提に、国民の資産形成に資する暗号資産については、税制面でも見直しを行う

ここで重要なのは、

すべての暗号資産が対象ではない

という点です。

大綱はあくまで
✔ 投資家保護の制度整備
✔ 健全な市場環境
が整ったものを前提にしています。


2. 分離課税の対象にする方向性が明記(大綱P52~P53)

今回の大綱で、最も注目されているのがここです。

現行制度のおさらい

いまの暗号資産の利益は、

  • 原則:雑所得
  • 総合課税
  • 最大税率:住民税含め 約55%

という、かなり重い扱いです。

大綱で示された方向性

これに対し大綱では、

暗号資産の「現物取引」「デリバティブ取引」「ETF」から生じる所得について
分離課税(所得税15%、住民税5%)の対象とする

と明記されています。

つまり、

株式やFXに近い課税の考え方に寄せていく方向

が、正式に文章として書かれた、という点が非常に大きいです。


3. 3年間の損失繰越控除を創設(大綱P53)

もう一つ、見逃せないのが 損失の扱いです。

大綱では、

  • 暗号資産取引による損失について
  • 3年間の繰越控除制度を創設

するとされています。

これにより、

  • 今年は損失
  • 翌年・翌々年に利益

といった場合、
過去の損失を差し引いて課税を受けられます。

これは、株式などと同じ「資産形成向け税制」に近づく動きです。


4. 「いつから?」への注意点(大綱P130(1))

ここで重要な注意点です。

大綱130ページには、
「金融商品取引法の改正の日の属する年の翌年1月1日以後に行われる暗号資産の譲渡等について適用」
と書かれています。

→2027(令和9)年から?


まとめ|暗号資産は“税制的にも転換点”に来ている

今回の大綱を一言でまとめると、

暗号資産を、ギャンブル的な所得から、資産形成の選択肢へ

と位置づけ直そうとしている、という点です。

  • 分離課税の検討
  • 損失繰越控除の創設
  • 金融商品としての整理

これらが一体で書かれたのは、かなり踏み込んだ内容です。

今後は、

  • 個人投資家
  • 事業として暗号資産を扱う人

いずれにとっても、
「税金の前提が変わる可能性がある」分野として、引き続き注視が必要になりそうです。

田中雅樹(税理士)

●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

 

本日記

税制改正大綱、やはり皆さん興味ありますよね。
土日というと急降下するPのVが、それでも平日の半分にも遠く及びませんが、この土日は更新しがいのある数字になっています。
わたし自身の学びでもあるので、すごく有り難いですね。

今日のラジオ

●オードリーのオールナイトニッポン
●服部廉太郎のここで喋らせてください!
●髭男爵山田ルイ53世のルネッサンスラジオ

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