役員報酬を減らしたら…社会保険料・税金・会社への影響まとめ
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役員報酬を減らすことは、会社経営において、資金繰り改善やコスト削減のために検討されることがあります。
しかし、報酬の削減は社会保険料、税金、会社全体にさまざまな影響を及ぼすため、慎重な判断が必要です。
1. 社会保険料への影響
役員報酬が減ると、社会保険料の負担も軽減されます。
健康保険や厚生年金保険の保険料は報酬額に基づいて算出されるため、報酬が下がれば保険料も比例して減少します。
ただし、以下の点に注意が必要です。
標準報酬月額の改定時期
社会保険料は通常、報酬変更後の翌々月に反映されます。
急な変更では即時効果が得られない場合があります。
最低報酬の制約
報酬を極端に下げると、社会保険の最低標準報酬月額を下回る可能性があり、制度上問題となる場合があります。
将来の年金受給額
報酬が減ると厚生年金の保険料が下がり、将来の年金受給額が減少する可能性があります。
2. 税金への影響
役員報酬の削減は、個人と会社の税金に以下のような影響を与えます。
個人の所得税・住民税
報酬が減れば課税所得が減り、所得税や住民税の負担が軽減されます。
特に高額報酬を受け取っていた役員の場合、累進課税により税率が下がる可能性があります。
会社の法人税
役員報酬は損金(経費)として計上できるため、報酬を減らすと損金が減り、結果的に課税所得が増加して法人税負担が大きくなる場合があります。
配当への影響
報酬を下げて利益を配当として受け取る場合、配当課税(約20%)が適用されますが、報酬としての所得税(最大45%+住民税10%)より税率が低いため、総合的な税負担が減る可能性があります。
3. 会社への影響
役員報酬の削減は、会社経営や組織全体に以下のような影響を及ぼします。
資金繰りの改善
報酬削減により人件費が減り、短期的なキャッシュフローが改善します。
特に中小企業では資金繰りの余裕が生まれ、投資や債務返済に充てられる可能性があります。
役員のモチベーション
報酬が大幅に減ると、役員のやる気や責任感に影響を与えるリスクがあります。
長期的な経営戦略に悪影響を及ぼす可能性も考慮が必要です。
従業員や外部への印象
役員報酬の削減は、会社の財務状況が厳しいと従業員や取引先に受け取られる可能性があり、信頼感やブランドイメージに影響を与える場合があります。
法令遵守
報酬の変更は株主総会や取締役会の承認が必要な場合があります。
また、労働基準法や会社法に基づく適切な手続きを怠ると、法的リスクが生じる可能性があります。
4. 注意点と対策
役員報酬を減らす際は、以下の点に留意し、適切な対策を講じましょう。
タイミング
報酬変更は年度初めや決算期に合わせると、税務や社会保険の手続きがスムーズです。
専門家への相談
税理士や社会保険労務士に相談し、税金や保険料のシミュレーションを行うことで、全体の影響を正確に把握できます。
バランスの考慮
報酬削減による短期的なメリットと、役員のモチベーションや会社イメージへの長期的な影響を比較検討しましょう。
代替案の検討
報酬の一部をストックオプションや退職金として支給するなど、税負担を抑えつつ役員の満足度を維持する方法も検討可能です。
まとめ
役員報酬を減らすと、社会保険料や個人の税負担が軽減される一方、会社の法人税負担が増えたり、役員のモチベーションや会社イメージに影響を与えたりする可能性があります。
資金繰り改善の有効な手段ではありますが、短期・長期の影響を総合的に検討し、専門家の助言を得ながら慎重に進めることが重要です。
適切な戦略で、会社と役員双方にとって最適な結果を目指しましょう。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日
本日記
真夏日にはまだ遠いというのに、モバイルWifiルータ代わりのスマホの充電が遅く。。
昨年夏から導入しているスマホ用ファンを引っ張り出しました。
放熱の妨げになるスマホのケースもダメで、まぁ面倒ではあります。
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