相続時精算課税を使う前に知っておきたい「贈与の落とし穴」|税金よりも大事なこと
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相続時精算課税の活用が増える背景
2024年から、相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が設けられました。
この改正により、「まずは110万円分だけ贈与しておこう」という選択肢が広がり、制度の利用者が今後ますます増えていくと見られています。
2023年に相続時精算課税を使って贈与を受けた人は5万人弱ほどのようですが、2024年、2025年と、増加することが予想されます。
「相続税の対象になるか」は金額次第
相続時精算課税制度を使った贈与には、以下の原則があります:
- 年間110万円までの贈与額:相続財産に加算されない
- これを超える金額:相続財産に加算される
つまり、110万円を超えた部分は、最終的に相続税の課税対象になるわけです。
贈与が“見える化”されるという現実
ここで注意すべきなのは、「贈与の事実」が後になって相続人全員に共有されてしまう、という点です。
たとえば――
- 父親が長男に2,000万円を一括贈与(相続時精算課税を利用)
- 相続時に、2,000万円-110万円=1,890万円が相続財産に加算される
- この事実は相続税申告の際に申告書に記載されるため、次男・三男にも知られることに
贈与の内容を家族(次男・三男)が把握していなかった場合、これが火種となり、相続人の間でトラブルに発展することも十分あり得ます。
孫への贈与でも同じ問題が起きる可能性
この構図は、祖父母→孫の贈与でも同様です。
子ども(相続人)が複数いるのに、特定の孫にだけ贈与をしていたとすれば、子どもたちの間で不公平感が生まれることも考えられます。
贈与は“平等”が原則。帳尻を合わせる工夫も必要
- 贈与を行うなら、相続人の間で平等に
- 子どもの年齢に差があり、贈与を開始した時期が異なる場合は、「贈与税を支払った後の手取り額の総額」でバランスを取るなど、帳尻を合わせる工夫を
税制だけにとらわれず、将来の人間関係や感情の変化も見越して動くことが大切です。
本末転倒にならない“節税”を
税金を減らす手段はいろいろあります。
が、その結果「家族の関係が壊れた」では意味がありません。
本当に大事なのは、
節税ではなく、“税引き後のお金”を最大化すること
そのためには、「税金が減るからこれをやる」ではなく、
「この方法がベスト(ベター)。結果的に税金も減る」のが理想ですよね。
まとめ
相続時精算課税は、制度のメリットばかりが語られがちです。
しかし実際には“相続の見える化”という副作用があり、これがきっかけで家族のバランスを崩してしまうこともあります。
贈与はあくまでも人と人のつながりの上にあるもの。
税金の知識と同時に、「人間関係の配慮」も忘れずに行いたいところです。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日
本日記
夏休み、土曜日、
しかし中学校のグラウンドには部活と思われる中学生がたくさん。
高1のときの夏休み、部活を全サボりしたことを思い出しました。
(中学3年間も全サボり…というか、弱小卓球部には夏休み中に練習するという発想がありませんでした)
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