全経税法検定(法人3級・消費3級)出題傾向から見る小さな変化
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2025年10月26日に実施された全経税法検定(法人税法3級・消費税法3級)。
受験された方、本当にお疲れさまでした。
今回は、実際の出題を振り返りながら、少し所感をまとめてみます。
法人税法3級 実務に寄せた出題
第1問 理論問題
まず気になったのは、(3) 納税地の異動。
答えは「異動前」ですね。
納税地の異動届出書の提出先の改正後、初の出題でした。
(改正前は「移動前および移動後の所轄税務署長」でした。)
次に、
(6) 収益事業とは〜「継続して」事業場を設けて〜
過去にも数度出題されていると思いますが、テキスト等にはあまり載っていない問題でした。
第2問 貸倒引当金
注目は、電子記録債権・債務。
「電子記録債権」は受取手形と同じ扱い、
「電子記録債務」は支払手形と同じ扱い。
この出題のしかたはおそらく初出題。
電子取引の普及に合わせた、実務的なテーマが取り入れられた印象です。
消費税法3級 軽減税率まわりの“細かい現場感”
第1問 理論問題
(3)「金融業および保険業のみなし仕入率は50%」です。
第3問の簡易課税で「金融業」「保険業」が出題されることはありませんが、理論問題では時おり出題されています。
第2問
③出前業者の配送料金自体は標準税率です。
飲食料品の譲渡に引っ張られると間違えやすいかもしれません。
⑦模型付きお菓子(菓子が2/3以上)は軽減税率です。
お菓子部分が3分の2以上ということで、一体資産に該当するからですね。
第3問 計算(簡易課税)
小売業→第2種→みなし仕入率80%。
売上は標準税率の適用でした。
ここは例年通りの素直な問題。
満点解答したいですね。
第4問 計算(一般課税)
ここが少し面白い出題でした。
「接待交際費」で、取引先への菓子折りが軽減税率対象という部分です。
仕入税額控除に標準税率と軽減税率が混ざるという、初の出題パターンでした。
「6.24/108」、書けたでしょうか。
さらに「その他の資料(売上返還等)」では、
値引き330,000円 × 7.8/110
の計算をさせる問題が出ました。
売上返還等の税額自体が「与えられない」形式も初でした。
出題の工夫、ということなのでしょうか。
【まとめ】本来の処理(+実務)を問う方向に?
法人税では電子記録債権、消費税では軽減税率の扱いなど、
過去問題集だけでは対応できない出題がみられました。
とはいえ、初出題の論点について得点できなかったとしても合格はできます。
- 理論問題についてはテキスト類を読んで理解→過去問題を何度も解く
- 計算についてはテキスト類で計算手順の理解→過去問題を解く
理論問題は3級でも難しい出題があったりするので、まずは計算を得点源にしたいですね。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

本日記
というわけで本日公開となった全経税法の問題と解答。
ずいぶん久しぶりの解説記事となりました。
少し続きを書きますが、消費税3級の仕入税額控除について、標準税率と軽減税率が混ざった問題は3級の出題範囲外だった気がします。
もし規定が変わっていたのであれば、確認不足ですが。
仕入返還等についても、規定では「税額を与える」とあったような。
受験生はほぼ専門学校の学生なので、せめて学校側には分かりやすくアナウンスしてくれればと思うんですけどね。
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