【国税庁質疑応答】値引きを補填する交付金は「特定収入」に該当するのか?
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2025年12月3日、国税庁の質疑応答事例が新たに公表されました。
今回取り上げるのは、
セミナー受講料の値引きを補填するために交付される交付金が、
消費税法上の「特定収入」に該当するか
という、非営利法人・一般社団法人では特に重要な論点です。
■ 事案の概要(シンプルに整理)
今回の照会事案は、次のような内容です。
- 照会者:一般社団法人
- 事業内容:一般向けセミナーの開催
- 地方公共団体からの要請により
一定の要件を満たす受講者について 受講料を値引き - 値引きした金額について
👉 地方公共団体から交付金を受領 - 交付金の算定方法
・値引きをした人数 × 一定額
・実績報告書により受講者数を報告
このような交付金について、
消費税法上の「特定収入」に該当するか?
が問題となりました。
■ 国税庁の結論
結論は明確です。
当該交付金は「使途不特定の特定収入」に該当する
と判断されています。
■ なぜ「特定収入」になるのか?
ここが今回の事例の核心です。
● まず「特定収入」とは何か
消費税法における特定収入とは、典型的には、
- 補助金
- 交付金
- 負担金
- 寄付金
などのうち、
資産の譲渡等の対価に該当しない収入
をいいます。
● 特定収入に「ならない」ケースもある
ただし、次のような場合には、
特定収入に該当しないとされています。
- 法令や交付要綱等により
👉 特定の支出のためにのみ使用することが明らか - 例えば
・「機械装置の取得費用に充てる」
・「特定の課税仕入れに充てる」
といったように、使途が具体的に限定されている場合です。
■ 今回の交付金が「特定収入」とされた理由
国税庁は、次の点を重視しています。
値引き補填=対価ではない
- 交付金は
👉 セミナー役務の対価ではない - あくまで
👉 値引きを行った実績に応じて支給されるもの
➡ 資産の譲渡等の対価には該当しない
交付要綱等で「使途」が特定されていない
今回の交付要綱では、
- 値引き人数 × 一定額
という算定方法は定められているものの、 - 交付金を
・何に使うのか
・課税仕入れに使うのか
・非課税・不課税支出に使うのか
といった点が 具体的に定められていない ことがポイントです。
➡ 消費税法上は
「使途が明らかにされている収入」には該当しない
■ 「使途不特定の特定収入」とは?
今回の事例では、
使途不特定の特定収入
という整理がされています。
これは、
- 特定収入ではあるが
- 課税仕入れ等に直接対応するものではない
という位置づけです。
👉 非営利法人では、
課税売上割合の計算に影響する可能性があるため要注意です。
■ 実務上の注意点(かなり重要)
この事例から、次の点が実務上の教訓になります。
● 「値引き補填型」の交付金は要注意
- 形式的には
「値引き=対価の一部補填」に見える - しかし、消費税法上は
👉 対価性が否定されやすい
● 実績報告書があっても「使途特定」とは限らない
- 実績報告書で
人数や金額を報告していても - それだけでは
👉 使途が特定されたことにはならない
● 使途を特定したいなら「文書」が必要
国税庁は注記で、
- 国・地方公共団体が
合理的な方法により使途を明らかにした文書 - いわゆる
👉 「使途特定文書」
があれば、
使途特定と扱われる可能性があることも示しています。
■ まとめ
今回の質疑応答事例のポイントは次のとおりです。
- 値引きを補填する交付金は
👉 役務の対価ではない - 交付要綱等で
👉 具体的な使途が定められていない - その結果
👉 使途不特定の特定収入に該当 - 非営利法人では
👉 課税売上割合への影響に注意
地方公共団体からの交付金がある法人では、
「補助金だから一律こう処理する」という判断は危険です。
交付要綱・実績報告書・使途特定文書の有無を必ず確認し、
消費税の取扱いを慎重に検討する必要があります。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

本日記
8か月ぶりくらいに竜王ラドン温泉へ。
日本一と言って過言ではない泉質の温泉にじっくりつかってきました。
少々湯あたりしてしまったのは反省材料で。
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