【解説】譲渡担保と所有権留保が法律で明文化へ!企業の資金調達がどう変わる?
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こんにちは、税理士の田中です。
2024年6月、「譲渡担保」や「所有権留保」といった、実務ではよく使われるけれど法律上はグレーだった手法について、明文化・合理化を行う新法が公表されました。
「何が変わるの?」「会社に関係あるの?」と思った方へ、ポイントをかんたんに解説します!
■ なぜ法律が変わるの?
これまで企業の資金調達では「不動産担保」「個人保証」が中心でした。
でも、設備・在庫・売掛金など「動産や債権」を担保にした資金調達のニーズが高まっています。
一方で、現行法にはそれを支える明確なルールがなかったため、実務では判例や慣習に頼るしかありませんでした。
そこで今回、新たに:
- 譲渡担保契約
- 所有権留保契約
について、ルールを明文化し、取引の安定性と予見可能性を高める法律が整備されることになりました。
■ 譲渡担保・所有権留保とは?
項目 | 内容 |
---|---|
譲渡担保 | 担保として財産を“形式的に”譲渡する。設定者はそのまま使用・収益できる |
所有権留保 | 代金を完済するまで、売主が所有権を保有。買主は使用可能 |
とくに譲渡担保は、在庫や設備などの動産を「使いながら担保にできる」ため、中小企業の資金調達に有利です。
■ 改正のポイント
✅ 1. ルールの明文化・合理化
- 設定者(担保を提供する側)が使い続けられることを明文化
- 集合動産(例:倉庫内の在庫)や将来債権にも対応
- 根担保(継続的な債務への担保)についてもルールを明確化
✅ 2. 他の担保権との競合ルールを整備
- 公示性(第三者に見えるか)を重視した順位決定
- 登記されている担保が優先される
✅ 3. 倒産時の取り扱いを明確化
- 担保の実行に猶予期間(2週間)を設定
- 裁判所による実行中止や取消命令のルールを創設
- 設定後に取得した財産には原則担保が及ばないことを明文化
■ 実務への影響は?
今回の法改正で、譲渡担保・所有権留保が「グレー」から「合法な制度」へと位置づけられ、以下のようなメリットがあります。
- ✅ 金融機関との交渉で使いやすくなる
- ✅ 曖昧な担保権の扱いが整理される
- ✅ 中小企業でも不動産なしで資金調達しやすくなる
反面、債権者・債務者の権利・義務が明文化されるため、制度を理解して運用する知識も重要になってきます。
■ まとめ
2024年6月に公布された新しい担保法制は、実務で使われてきた「譲渡担保」「所有権留保」にルールを整備し、企業の資金調達の選択肢を広げるものです。
これから施行までに制度理解を進めておくことで、融資交渉や事業継続の局面でも有利に働く場面が出てくるでしょう。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日
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最高気温が一日1度ずつ上がっていく感じのここ数日。
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