【基礎控除は物価連動で見直しへ】令和8年度税制改正大綱の方向性を整理して解説
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自民党税制調査会は、2025年12月11日、近く取りまとめ予定の令和8年度税制改正大綱に向けて、
基礎控除の物価連動による見直しをはじめ、個人・法人双方に影響の大きい税制改正の方向性を示しました。
今回は、その中でも特に注目度の高いポイントを中心に、
「何がどう変わるのか」「実務への影響は何か」を整理して解説します。
■ 基礎控除は「物価連動」で2年ごとに見直しへ
最大の注目点は、所得税の基礎控除を物価に連動させて見直す仕組みが導入される点です。
● 物価指標は「消費者物価指数(総合)」
- CPI(総合)を参照して控除額を調整
- 原則、すべての納税者に影響する控除であることを踏まえ、対象範囲の広い指数を採用
● 見直しは「2年ごと」
- 物価上昇をタイムリーに反映しつつ
- 源泉徴収義務者(企業・事業主)の事務負担に配慮
● 初年度は年末調整で対応
実務上、給与計算や年末調整への影響が想定されます。
● 給与所得控除の最低保障額も連動
基礎控除と同様の考え方で見直しが行われる予定です。
👉 これにより、国民民主党が主張する「年収178万円の壁」問題にも一定程度近づく形となります。
■ 超高所得者層への負担適正化も実施
税負担の公平性の観点から、極めて高い所得に対する見直しも行われます。
改正内容
- 特別控除額
●現行:3億3,000万円
●改正後:1億6,500万円 - 税率
●現行:22.5%
●改正後:30%
適用時期
令和9年分所得から適用
👉 一般的な納税者への影響は限定的ですが、
超富裕層に対する課税強化のメッセージ性は大きい改正です。
■ 教育資金一括贈与の非課税措置は延長せず
教育資金の一括贈与に係る非課税措置については、
- 利用実態
- 格差固定化の懸念
- 教育無償化の進展
- NISA拡充などの環境変化
を踏まえ、適用期限(令和8年3月末)で終了する方針です。
👉 今後は「使い切れなかった場合のリスク」を含め、
制度を前提とした贈与設計は見直しが必要になります。
■ 賃上げ促進税制は「大企業向け廃止」へ
賃上げ促進税制についても、大きな見直しが示されました。
● 大企業向け措置は廃止
- 内部留保・現預金が積み上がる一方
- 税制による賃上げ誘導の必要性が薄れているとの判断
● 中堅企業向け措置も段階的に整理
●要件を見直した上で 令和9年度に廃止予定
● 教育訓練費の上乗せ措置も廃止
- 教育訓練費の増加額を控除額が上回るという会計検査院の指摘を踏まえた対応
- 中小企業を含めて廃止
👉 賃上げ支援は、税制から別の政策手段へ軸足を移す印象です。
■ 新たな設備投資減税を創設へ(大胆な内容)
法人向けでは、高付加価値型の設備投資を促す新税制が創設されます。
主なポイント
- 対象業種:すべての業種
- 対象投資:
●既存制度では対象外となる
●大規模・高付加価値の設備投資 - 要件:
産業競争力強化法に基づく設備投資計画の確認を受けること
税制措置
- 即時償却 または
- 税額控除
●原則:7%
●建物等:4%
適用期間
- 設備投資計画の確認期限:令和11年3月31日まで
- 確認日から5年以内に取得・事業供用
👉 米国関税措置の影響を踏まえ、
「国内投資を本気で後押しする」色合いの強い制度です。
■ まとめ:令和8年度改正は“物価と実態”を強く意識
今回示された方向性をまとめます。
- 基礎控除は物価連動で定期的に見直し
- 高所得層には負担適正化
- 一部の優遇措置は整理・終了
- 設備投資は大胆に後押し
今後、大綱が正式に公表され次第、
実務への影響や注意点も改めて解説していきます。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

本日記
ビッグラン(スプラトゥーン3)が始まりました。
さすがに以前ほどの熱量は無くなってしまいましたが。
これは「4」が出たら戻るのかどうか。
バトルしない時点で向いていないのかもしれませんが、買っちゃうでしょうね。
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