退職金を受け取ったら注意!2025年度税制改正で源泉徴収票の提出が全居住者に義務化へ
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退職金を受け取るすべての居住者に関係する、大きな制度改正が始まります。
2025年度(令和7年度)の税制改正により、退職所得の源泉徴収票の提出義務が拡大されることが決定しました。
これまでは「法人の役員」に限られていた提出対象が、すべての居住者に広がるという大きな転換です。
1.何が変わるのか?
これまでは、退職金(退職手当等)を支払う法人が、その役員に対する支払分のみ、退職所得の源泉徴収票を税務署に提出する義務がありました。
しかし、2026年1月1日以後に提出すべき分からは、
一般従業員を含むすべての居住者に対して支払う退職金についても提出義務が課されます。
2.改正の背景には「申告漏れ」問題
この改正の背景には、会計検査院の指摘があります。
検査では、退職金を受け取ったにもかかわらず、
確定申告書に退職所得を含めていなかったケースが多数見つかったのです。
その結果、たとえば所得税の基礎控除(所得2,500万円超でゼロになる)や住宅ローン控除などを、
本来の適用要件を満たさないのに適用していたケースがあったことが明らかになりました。
3.「退職金も合計所得に含まれる」ことを再確認しよう
多くの人が見落としがちですが、退職所得は他の所得と合算して、
合計所得金額に含めなければなりません。
これを含めないまま申告すると、
・本来適用できないはずの控除を使ってしまう
・将来、税務調査で修正申告を求められる
…といったリスクが高まります。
4.源泉徴収票の様式も改正へ
2025年度改正では、源泉徴収票の様式や記載内容も見直されます。
特に以下のような退職金の多様化に対応するため、7つの区分と摘要欄への記載が導入されます。
- 退職一時金
- 老齢一時金
- ストックオプションの行使による利益
- 譲渡制限付株式の解除に伴う利益 など
これにより、ストックオプションや株式報酬を含む退職金制度がある企業にとっては、
記載ミスや提出漏れに注意が必要になります。
5.まとめ|「会社まかせ」は危険!退職金を受け取ったら確認を
これからは、退職金を受け取ったすべての人が、
税務署に情報が届く仕組みになります。
つまり、「会社が処理してくれるから大丈夫」と油断していると、
後から過少申告として指摘される可能性があるということです。
退職金を受け取った年は、
- 源泉徴収票の内容を自分でも確認する
- 確定申告に含めるべきか判断する(特に高所得者は要注意)
- 控除の適用要件を正確に理解する
…といったセルフチェックが今後ますます重要になります。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日
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ようやく通り雨が!
と喜んだのも束の間、すぐやんでしまいました。
1時間くらいは降ってもらいたいものです。
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