ニガテを “半分、強い” に。山梨県中央市の税理士

多額の修繕費用が「修繕費」として認められるポイント

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減価償却資産に多額の修繕費をかけたとき、
それが 一括損金(修繕費) になるのか、
あるいは 資産計上(減価償却) になるのか——。

この判断は、実務でも非常に迷いやすい論点のひとつです。


「修繕費」か「資産計上」か──判断が難しい理由

修繕と一口に言っても、その内容は千差万別です。
外壁の補修、屋根の葺き替え、機械の部品交換……。

明確に線引きできないケースも多く、
経理実務では「どちらで処理するか」を結論づける必要があります。

そんなときに参考になるのが、次の2つの裁決です。

  • 平成13年9月20日裁決
  • 平成14年8月21日裁決

裁決の概要と金額

問題となった修繕費用は以下のとおりです。

  • 平成13年9月20日裁決:1,100万円・2,170万円
  • 平成14年8月21日裁決:290万円

いずれのケースも流れは似ています。

「何度か修繕を行なったが、改善されなかった」
→ 「物理的付加を伴う修繕を行なった」


「物理的付加」とは?

法人税基本通達7-8-1では、「物理的に付加した部分に係る費用」は資産計上となる例 とされています。

ただし、あくまで「例」であって「要件」ではありません。
「物理的付加を伴う修繕=必ず資産計上」というわけではないのです。

とはいえ実際の税務調査では
「物理的付加を伴う修繕だから資産計上では?」
と指摘されるリスクがあります。


「改造」「改善」などの言葉に注意

平成14年8月21日裁決では、工事業者との契約書に「改造」という言葉があったことを理由に国税が資産計上を主張しました。

ある国税OB税理士によれば
「改造、改善、増設などの表現を税務調査官は探している」
という指摘もあります。

請求書や見積書に「改良・改善・補強・強化・増設・新設・設置」などの表現がある。
となると、たとえ実態が修繕費に該当するものであっても否認リスクが高まります。


「何度か修繕した後の工事」だけが修繕費とは限らない

先ほどの2つの裁決では、
「何度か修繕を行なったが改善されなかった」
→ 「物理的付加を伴う修繕を行なった」
という経緯がありました。

これはあくまで判断材料のひとつであって、要件というわけではありません。
最初の工事で状況が改善した場合でも、内容次第では修繕費と認められるケースもあります。


修繕費か資産計上か迷ったときの考え方

次のようなケースでは論点になりやすいでしょう。

  • 修繕費用が多額
  • 新設・増設など物理的付加を伴う
  • その工事だけで問題が解決した

ただし、最終的に重要なのは「その一つの工事が修繕費なのか、資産計上なのか」という点です。


税理士としての実務的な見解

修繕費か資産計上かの判断は、税理士が機械や建物の専門家ではない以上、ヒアリングをもとに判断せざるを得ません。
その判断ですが、

  • 調査官だって迷う(資産だとふっかける)
  • 調査が入って初めて論点になる(「お尋ね」が来る可能性もあるが)
  • 調査があるかどうかは常に不明(調査対象にならない申告書のほうが圧倒的におおい)
  • 否認されてもいずれは減価償却費(修正申告で加算税・延滞税の可能性はあるが)

というくらいに考えて、調査を怖がりすぎない姿勢を持ってもよいかと思います。


まとめ

  • 「物理的付加=資産計上」ではないが、否認リスクはある
  • 「改造」「改善」などの表現には注意
  • グレーな場合は、修繕費処理の上で合理的説明を準備
  • 否認されてもいずれは減価償却費

修繕費と資産計上の判断は、理屈だけでなく「説明力」が求められる分野です。
書面上の言葉遣いにも気を配りながら、現実的・防御的な処理を心がけたいところです。

田中雅樹(税理士)

●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

 

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ドラクエI、何度目かの挑戦でようやく「あくまのきし」を攻略できました。
早めに行くことができる場所にいるのに、その後の中ボスクラスよりよほど強いという。。
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