白色申告でも「記帳・保存」は義務です──令和7年10月の国税庁更新で注意喚起
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個人で事業をされている方の中には、「自分は白色申告だから帳簿までは付けなくても大丈夫」と思っている方も少なくありません。
しかし、実は、白色申告でも記帳と書類の保存は義務です。
令和7年10月に国税庁がホームページを更新し、白色申告者の「記帳・帳簿等の保存制度」について、改めて注意喚起を行っています。
■ 対象となるのはすべての事業者
この制度の対象となるのは、
- 事業所得
- 不動産所得
- 山林所得
を生ずる業務を行うすべての方です。
たとえ所得税の確定申告が不要なケースでも、記帳・保存義務は発生します。
また、令和4年以降は、前々年の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える方も、現金預金の出入りに関する書類を保存しなければならないことになりました。
■ 記帳内容は「日々の取引」を中心に
売上や仕入、経費などの取引について、
- 日付
- 相手先の名称
- 金額
を記載します。
一つひとつの取引をすべて記録するのが理想ですが、「日々の合計金額」をまとめて記載する簡易的な方法でも認められています。
実際には、家計簿のようにざっくりまとめる形でも構いません。
■ 帳簿や書類の保存期間
種類 | 保存が必要なもの | 保存期間 |
---|---|---|
帳簿 | 収入や経費を記載した法定帳簿 | 7年 |
帳簿 | 上記以外の任意帳簿 | 5年 |
書類 | 棚卸表など決算関連書類 | 5年 |
書類 | 請求書・領収書・納品書など | 5年 |
また、前述のように、雑所得300万円超の方は、現金の出入りに関する領収書などを5年間保存する必要があります。
■ 帳簿を残さなかった場合のペナルティ
令和5年分以降の確定申告からは、帳簿の不備に対して加算税が加重される制度が始まっています。
具体的には、帳簿がなかったり、売上の記載が不十分だった場合に、通常の加算税(過少申告加算税・無申告加算税)にさらに5%または10%上乗せされる仕組みです。
帳簿を残していなかっただけで税負担が重くなる可能性があるため、注意が必要です。
■ 記帳に自信がない方は「記帳説明会」へ
税務署では、白色申告者向けに「記帳説明会」を開催しています。
帳簿の付け方や保存方法を、初心者向けにわかりやすく説明してくれる内容です。
- 記帳を始めたいけどやり方がわからない
- エクセルでつけてもいいのか不安
- 紙の領収書はどう整理すればいい?
そんな方は、一度参加してみるのもおすすめです。
■ まとめ
白色申告だからといって、記帳や保存をおろそかにしてしまうと、あとで加算税の対象になったり、経費の裏付けが取れず損をすることもあります。
令和7年の制度更新を機に、「簡単でもいいから日々の取引を残す」
──この意識を持つことが、結果的に安心につながります。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日
本日記
夜、めちゃくちゃ寒くて思わず電気ヒーターを引っ張り出しました。
急な11月下旬並みはこたえます。
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