【税理士が解説】その修繕費用は経費?資産計上?判断のポイント
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会社が保有する建物や設備などの固定資産を修繕した際、その費用を全額経費(修繕費)にできるのか、それとも資産計上して減価償却するべきか――
これは税務上、しばしば議論になる難しいテーマです。
ここでは基本的な考え方と、国税不服審判所の裁決事例を踏まえて整理します。
修繕費と資産計上の基本的な考えかた
修繕費として経費にできるケース
- 通常の維持管理のための費用
- 災害などで損傷した資産の原状回復費用
資産計上すべきケース
- 建物などの使用可能期間を延長させる工事
- 資産価値を増大させる工事
物理的な付加を伴う=必ず資産計上
…という単純な判断ではありません。
工事の内容や目的を総合的に見る必要があります。
参考になる裁決事例
1. 外装タイル工事の一部が修繕費(平成10年4月17日裁決)
外装タイル貼工事は通常資産計上ですが、外壁クラックの補修部分は原状回復であり修繕費と認められました。
2. ホテル客室床の張替え(平成12年5月31日裁決)
じゅうたんをフローリングに変更した工事が修繕費と認定された事例です。
- ㎡単価が同水準で品質向上とはいえない
- 新築工事単価より低い
と判断されたためです。
3. 老朽化建物の耐用年数増工事(平成17年4月26日裁決)
一般的には耐用年数が伸びる工事でも、建物が相当老朽化しており延命効果が不明
…として修繕費に。
実務での備え:証拠を残すことが重要
税務調査で争いになりやすいため、次の資料は必ず保存しておきましょう。
- 工事請負契約書、内訳書、工程表
- 修繕前・修繕中・修繕後の写真
特に写真は後回しになりがちなので要注意です。
判断の最終ポイント
- 使用可能期間が延びたか
- 価値が増大したか
これらに該当しなければ、修繕費として経費計上して差し支えないケースが多いです。
まとめ
修繕費か資産計上かは、税務調査でもつっこまれやすい論点です。
証拠を整理して、事前に税理士とも相談しておくと安心です。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日
本日記
真夏日でした。
さすがに暑く、夕方前の2時間ほど冷房を。
向こう一週間の予報は30度未満。
秋が早く来た感がありますが、真夏日以上に達した日数は昨年に並んだみたいですね。
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