ニガテを “半分、強い” に。山梨県中央市の税理士

【令和8年度税制改正大綱】まずはここを押さえたい「基本的考え方」をやさしく解説

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令和8年度税制改正大綱が公表されました。
分量が多く、正直「どこから読めばいいのか分からない…」という方も多いと思います。

そこで今回は、大綱の**5ページから35ページに記載されている「基本的考え方」**について、
専門用語をできるだけ使わずに、ポイントを整理して解説します。


そもそも今回の税制改正、大きなテーマは?

今回の税制改正を一言で言うと、

「物価高の時代に、税負担のゆがみを放置しない」

という姿勢が、これまで以上に強く打ち出されています。

背景には、

  • 長引く物価上昇
  • 実質賃金の伸び悩み
  • 少子高齢化と社会保障費の増大
  • 国際競争の激化

といった、日本が抱える構造的な問題があります。

「減税か増税か」という単純な話ではなく、
税制をどう使って経済の好循環を作るかが主眼になっています。


キーワード1 物価高と税負担のズレをどうするか

まず強調されているのが、物価上昇と税制のズレです。

たとえば所得税の基礎控除は、長年「定額」のままでした。
(近年は少し上がりましたが)
その結果、

  • 物価は上がっている
  • 生活費は増えている
  • でも控除額は同じ

という状態が続き、実質的な増税になっていた、という問題意識が示されています。

そこで大綱では、

  • 基礎控除や給与所得控除について
  • 物価動向(CPI)を踏まえて
  • 定期的に見直す仕組みを検討する

という方向性が明確に打ち出されました。

これは、いわゆる「年収の壁」問題にも直結する話です。


キーワード2 中間層も含めた「広い層」への配慮

これまでの税制は、

  • 低所得者向けの支援
  • 高所得者への負担強化

に重点が置かれがちでした。

今回の大綱では、
その中間にいる層(いわゆる中間層)への目配りが、かなり意識されています。

具体的には、

  • 控除制度の見直し
  • 所得要件の引き上げ
  • 「働くと損をする」構造の是正

といった方向性が示されています。

「頑張って働いても手取りが増えにくい」
そんな感覚を少しでも減らそう、というメッセージと受け取れます。

【SNS界隈】
それでもその「中間層」から少し上の(広い層から漏れてしまった)人たちから、SNS等で国民民主党への批判が起こっているようです。


キーワード3 投資と賃上げをどう後押しするか

企業向けの税制については、次の考え方が軸になっています。

「投資 → 生産性向上 → 賃上げ → 消費拡大」

この好循環を作れるかどうか。

そのため、

  • 設備投資を促す税制
  • 人的投資(教育・研修)への支援
  • 単なる延命的な優遇措置は見直す

というスタンスが示されています。

特に印象的なのは、
租税特別措置(いわゆる優遇税制)をゼロベースで見直す
と明言している点です。

「昔からあるから続ける」ではなく、
**本当に効果があるのか?**を厳しく検証する姿勢が強調されています。


キーワード4公平・中立・簡素という原点回帰

税制の基本原則として、何度も出てくるのが

  • 公平
  • 中立
  • 簡素

という言葉です。

特定の人や業界だけが有利になる制度は、
結果的に制度を複雑にし、納得感を失わせます。

そのため、

  • 効果が薄い特例は縮小・廃止
  • 制度はできるだけシンプルに
  • EBPM(証拠に基づく政策立案)を重視

という方向性が明確にされています。

「分かりにくい税制」からの脱却を目指している、と言えそうです。

【現状は複雑化】
あくまで現状は「脱却を目指す」であって、今現在は複雑化したまま、あるいは、一層の複雑化となってしまっている…という感じです。基礎控除38万円時代のほうがよほどシンプルでしたし、人を選ぶ「減税」下では、向こう数年の複雑化は致し方ないといったところでしょうか。


キーワード5 社会保障と税の関係も避けて通れない

大綱の後半では、社会保障との関係にも触れられています。

  • 高齢化による医療・介護費の増加
  • 防衛力強化のための安定財源
  • 教育や子育て支援の財源

これらをすべて「国債だけ」で賄うのは現実的ではありません。

そのため、

「責任ある積極財政」

という言葉が使われています。

これは、

  • 財政規律を無視しない
  • でも必要な支出はためらわない

という、いわば折衷的な考え方です。


まとめ:細かい制度より「方向性」を読むのが大事

令和8年度税制改正大綱の「基本的考え方」は、
具体的な増税・減税を断定する内容ではありません。

ですが、

  • 物価高への問題意識
  • 中間層への配慮
  • 税制の公平性と簡素化
  • 投資と賃上げの好循環

といった今後数年の税制の方向性は、かなりはっきり示されています。

細かい改正内容は、これから順次具体化していきますが、
「なぜその改正が出てきたのか」を理解するうえで、
この「基本的考え方」は一度目を通しておく価値があります。

田中雅樹(税理士)

●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

 

本日記

マスコミは昼過ぎくらいに入手するけれど、我々一般人には夕方にならないと届かない。
今年の税制改正大綱も、しっかり例年どおりでした。
その税制改正大綱ですが、なぜSNS界隈の税理士は我先にと読みたがるのでしょうか。
いえ、分かっています。見栄です。笑
「おれは100ページ超の大綱を毎年読んでいるんだ!」
という風な。わたしもそうですから。
SNSでそういう「アピール」をすることは昨年くらいからなくなりましたが、
ブログにするために1分でも早くダウンロードしたい!
という気持ちが毎年あります。
どこかの出版社さんが声かけてくれないかしら、などと思いながら。

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