事前確定届出給与の他に役員賞与を支払うとどうなる?
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会社を経営していると、役員の方に対して「賞与(ボーナス)を支給したい」と考える場面があります。
ただし、役員の給与や賞与は、税務上は非常に厳しくルールが決められています。
特に「事前確定届出給与」を利用している会社では注意が必要です。
この記事では、
「事前確定届出給与を出している会社が、追加で役員賞与を支払ったらどうなるのか?」
について解説します。
そもそも「事前確定届出給与」とは?
「事前確定届出給与」とは、
- いつ支払うか
- いくら支払うか
を事前に税務署に届け出て、そのとおりに役員に支給すれば経費(損金)として認められます。
追加で賞与を支給したらどうなる?
たとえば、
- 3月決算の会社
- 事前確定届出給与を「6月」「12月」に届け出て、そのとおり支給済み
- さらに業績が良かったので3月に役員賞与を出す
この場合、3月の賞与はどう扱われるでしょうか?
結論はこうです。
👉 3月の賞与は損金にできない(経費にならない)
👉 6月・12月の事前確定届出給与は問題なく損金算入OK(経費になる)
理由はシンプルです。
事前確定届出給与は、「届け出たとおりに支給したかどうか」だけで判定する制度だから。
追加で(届け出無しで)支払った分は別扱いで、過去の分(届け出あり)が否認されることはありません。
例外的に損金算入が認められる場合もある
ただし、次のような特別な事情がある場合は、追加で支払った給与でも損金算入が認められることがあります。
- 臨時改定事由
役員の役職が変わった、職務の内容が大きく変わった、などやむを得ない事情がある場合 - 業績悪化改定事由
業績が大きく悪化したため、やむを得ず役員給与を減額する場合(取引銀行や株主との関係で減額を求められた場合など)
ただし、これらは税務署への届出が必要で、しかも提出期限が1か月と非常に短い点に注意が必要です。
よくあるトラブル
事前確定届出給与の届け出をすると、次のようなミスが起こり得ます。
- 届け出た2回目の支払日を忘れてしまった
- 支払日を土日や祝日に設定してしまい、実際にはその日に支給できなかった
こうした場合、届出と違う扱いになるわけでして。。
損金算入が否認されかねません。
まとめ
- 事前確定届出給与は「届け出たとおりに支払ったか」が最重要
- 追加で支払う賞与は損金にならないが、届け出分には影響しない
- 特別な事情がある場合のみ、損金算入が認められることがある
- 支給日設定のミスや失念が多いので要注意
事前確定届出給与は便利な制度ですが、細心の注意が必要です。
制度を使うかどうかは、顧問税理士とよく相談したうえで判断することをおすすめします。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日
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昨晩は久しぶりに日付けをまたいでから就寝しました。
まぁ、やっぱり、私にはよくないですね。
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