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役員退職後の給与は月いくらまで?税務調査で否認されないための目安

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代表取締役が退任した後も、完全に退職せずに「会長」「相談役」「顧問」といった肩書で会社に残るケースは少なくありません。
このときに問題になるのが 退任後の給与額 です。

税務調査において「高額すぎる」と判断されれば、役員退職給与そのものが否認されるリスクがあります。
では、いくらなら適正と認められるのか。
以下、見てまいりましょう。


税法上の考え方

「法人税基本通達9-2-32」には、以下のような例示があります。

「例えば、代表取締役を退任したことで重要な事項に関与しなくなった場合、給与が激減(おおむね50%以上の減少)することもある。」

ちょっと注意したいのが、これは「要件」ではなくて「例示」だということ。
単に半額以下にすれば認められる…というルールではありません


実際の事例

過去の国税不服審判所の裁決(平成18年11月28日裁決)をカンタンに。

【国税側の主張】

  • 会長就任後の給与は代表取締役時の半額だが、まだ高額
  • 高額→∴経営参画している→∴実態は退任していない
  • 役員退職金は役員報酬だから損金不算入

国税不服審判所の判断は、「重要な経営判断に関与していない」。
結果としては納税者側の言い分がとおりました。

しかし、ここでちょっと覚えておきたいのは、退職後の給与が高かったこと。
それが税務調査で揉めた原因ということです。


適正額の目安

過去の裁決ベースでは、安全な退任後の給与は 月額5~15万円程度 です。

  • 平成9年9月29日裁決では、非常勤取締役の報酬 月額27万2,000円 が否認
  • 平成13年、平成17年、平成20年(→東京高裁 平成23年)と続く裁決で、同様の判断

カンタンにまとめるとこんな感じでしょうか。

●退任してもらったら重要な判断には一切関わらせない
●形式的に安全と思われるのは月額15万円以内
●15万円を超えて支給するなら、金額相応に働いてもらう


実務上の注意点

✅ 退任後の役割や職務内容を明確にしておく
✅ 実態に見合った給与額を設定する
✅ 高額に設定すれば役員退職給与が否認されるリスクがある


まとめ

  • 「半額以下ならOK」という単純なルールは存在しない
  • 過去の裁決では 月額5~15万円程度 が安全圏
  • 退職後給与を高額に設定すれば、その前の退職給与まで否認されるリスクあり

退任後の給与は「金額そのもの」よりも「実態に見合っているか」が問われます。
税務調査で不要なリスクを抱えないためにも、給与額の設定は慎重に行いましょう。

田中雅樹(税理士)

●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

 

本日記

マイナンバーカードの電子証明の更新に。
誕生日を過ぎてしまいましたが、3か月以内なら更新できます。
その後、小学生のころよく通っていた玩具店へ。
Switch2本体はおろか、すべての2専用ソフトまでも売り切れていてビックリ。
おそらくは、地域振興券のせいです。。

今日のAudible

●国宝 下 花道篇

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