年末年始の「贈答・お年賀」税務上の考え方― 交際費?福利厚生費?個人への贈答はどうなる? ―
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年末年始になると、
- 取引先へのお年賀
- 社内向けの差し入れ
- 個人への贈り物
など、「贈答」に関する支出が増えます。
この時期、よく聞かれるのが次の質問です。
「これは交際費ですか?福利厚生費になりますか?」
結論から言うと、
誰に・何の目的で・どのように支出したかで取扱いは変わります。
今回は、年末年始の贈答について、税務上の基本的な考え方を整理します。
1. 取引先へのお年賀・贈答品
→ 原則「交際費」
取引先(法人・個人を問わず)に対して、
- お年賀
- 年末年始の挨拶品
- 関係維持を目的とした贈答品
を渡す場合、目的は「取引関係の円滑化」です。
この場合、税務上は 交際費等 に該当します。
ポイント
- 「高額かどうか」は基本的に関係なし
- 金額が少額でも 交際費は交際費
※中小法人の場合は、交際費の損金算入限度(年800万円など)との関係に注意が必要です。
2. 社員全体へのお年賀・差し入れ
→ 条件を満たせば「福利厚生費」
次に多いのが、次のようなケースです。
- 仕事始めに社員全体へ配る菓子折り
- 年始の軽食・飲み物
- 社員全員向けのお年賀品
この場合、一定の要件を満たせば福利厚生費として処理できます。
福利厚生費として認められやすい条件
- 特定の役員・一部社員だけでない
- 社員全体を対象としている
- 社会通念上、常識的な金額
「社員への慰安・士気向上」が目的であれば、交際費にはなりません。
3. 役員個人・特定社員への贈答
→ 原則NG(給与・賞与扱い)
注意が必要なのが、
- 役員個人へのお年賀
- 特定の社員だけへの贈答
- 家族向けの贈り物
といったケースです。
これらは福利厚生費にはならず、
- 役員 → 役員給与(損金不算入リスクあり)
- 社員 → 給与課税
と判断される可能性が高くなります。
「年始だから」「気持ちだから」という理由は、税務上は通りません。
4. 個人事業主が個人として渡すお年賀
→ 原則「必要経費にならない」
個人事業主の場合、
- 事業としての贈答
- 私的な付き合いとしての贈答
の線引きが重要です。
事業との直接的な関係が薄い場合は、
事業経費ではなく、個人の支出とされることがあります。
「仕事関係だから全部OK」と考えるのは危険です。
5. 送料・包装代も忘れがちだが要注意
贈答品を送付する際の、
- 送料
- 梱包費
- のし代
も、贈答品と同じ区分で考えます。
- 取引先への贈答 → 送料も交際費
- 社員向け福利厚生 → 送料も福利厚生費
という扱いになります。
まとめ|年末年始の贈答は「相手」と「目的」で判断
年末年始の贈答について、整理すると次の通りです。
- 取引先へのお年賀 → 交際費
- 社員全体への差し入れ → 福利厚生費(条件付き)
- 役員・特定社員への贈答 → 給与・賞与扱いのリスク
- 個人的な贈答 → 経費不可
年末年始は支出が多くなり、
「なんとなく処理」してしまいがちな時期かもしれません。
あとから修正するのは大変。
支出した時点での目的・相手を意識して処理することが重要です。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

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ですがもう年末休みですね。
朝の道路はガラガラでした。
(ガラガラよりスキズキ、でしょうか)
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