ニガテを “半分、強い” に。山梨県中央市の税理士

“売上ゼロ”で通したフリーランス、3年後に来た税務署の質問状

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開業届を出したものの、収入はゼロのまま…

デザイナーのBさんは、会社を辞めてフリーランスとして独立。
勢いで開業届を出し、freeeで記帳もスタート。
ところが営業はうまくいかず、1年目の売上はゼロ。
2年目、3年目も似たような状況が続きました。

「売上がないなら、申告も簡単だし、問題ないよね」

そう思いながら、毎年 “売上ゼロ・経費ちょっと” の申告書を提出。
誰にも相談せず、3年が過ぎていきました。


ある日届いた「税務署からの質問状」

そして3年目の春。
Bさんのもとに税務署からの封筒が届きました。
中には「収支の状況についてお伺いしたい」という書面。
いわゆる“お尋ね”です。

「なぜ3年間、売上がゼロなのか」
「事業として継続の意思はあるのか」
「他の収入は?」
といった質問が並びます。

Bさんは驚きとともに焦りを感じました。
「これって、税務調査の前触れ? まずいことした?」


なぜ“売上ゼロ”が気になるのか?

税務署は「事業としての実態があるのか」を注視しています。
事業とは、営利を目的として継続的に行うもの。
何年も売上がゼロの状態が続くと、

  • 本当に事業として成り立っているのか
  • 赤字によって他の所得と相殺しているのではないか(損益通算)
  • あるいは単なる趣味・自己研鑽にすぎないのではないか

と疑問を持たれるのは自然な流れです。


回答のポイントと、今後の対策

Bさんは、これまでの活動状況や営業努力の記録をまとめたうえで、今後の計画を記載して返答しました。

「お尋ね」は必ずしも税務調査の予告ではありませんが、対応を誤れば本格的な調査につながることもあります。ポイントは、

  • 回答を放置しない
  • 嘘をつかず、誠実に状況を説明する
  • 今後の改善策・見通しを明示する

ことです。


フリーランスは「実態」と「説明力」が大事

特に収入が不安定なフリーランスの場合、帳簿だけでなく「どんな活動をしているか」が問われることもあります。
「小さくても事業として継続している」ことを示せるようにしておくことが、いざというときの備えになります。


「法人事業概況説明書」や「所得税青色申告決算書」に書く

最後に、そもそも「お尋ね」自体を避ける方法です。

●会社であれば「法人事業概況説明書」の『当期の営業成績の概要』
●個人事業者であれば「所得税青色申告決算書」の『本年中の特殊事情』

の欄に
「売上げがゼロである理由」、
「計上した経費(損金)の具体的な中身」、
これらを簡単に書きましょう。

「お尋ね」とは、税務署が「ちょっと気になる」から納税者に聞いてくるもの。
今回のBさんであれば、「どうやって生活しているの?」とか、「所得隠してません?」でしょうか。
こちらから説明することで、ある程度ですが、避けることができます。

田中雅樹(税理士)

●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

 

本日記

井上チャンピオンの防衛戦でした。
被ダウンシーンはもちろん、前半はいい勝負でドキドキ。
相手が強くても、観察が終われば圧倒してしまう無敵っぷり。
さすがでした。

今日のラジオ

●金曜キックス
●プチ鹿島のラジオ19xx

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