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従業員の子、保育料を会社が負担してもOK?福利厚生費として認められるには?

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共働き世帯の増加や待機児童問題を背景に、企業が従業員の子どもの保育料を一部補助するケースも見られるようになりました。
しかし、「保育料の負担=福利厚生費」として認められるかどうかは、税務上しっかりと整理しておく必要があります。

今回は、会社が保育料を負担する場合の福利厚生費としての取扱いについて解説します。


福利厚生費として認められるための3つの要件

会社が負担する保育料が「福利厚生費」として損金算入できるためには、次のような要件を満たす必要があります。

1. 全従業員を対象としていること

特定の役員や一部の従業員だけを対象とした補助は、福利厚生とは見なされず、給与課税の対象となってしまいます。
**「希望者全員が対象となる制度」**であることが前提です。

2. 社会通念上相当と認められる金額

高額な保育料を会社が全額負担するなど、一般常識を超える水準の場合には、福利厚生費と認められず、やはり給与とみなされる可能性があります。

3. 従業員の勤務のために必要な支援であること

保育の支援が従業員の就労継続や職場復帰を目的としていることが明確である必要があります。
企業内託児所の運営や、企業主導型保育施設との連携などが該当します。


福利厚生費として認められないケース(=給与課税の可能性あり)

次のような場合は、従業員への給与とみなされるおそれがあります。

  • 特定の従業員や役員のみを対象としている
  • 実質的に給与や手当の代わりとなっている
  • 明確な制度や規程がないまま支給している
  • 市中の保育施設の利用料を、会社が個別に肩代わりしている

これらに該当する場合、支給した金額は従業員の「給与」として所得税の課税対象となり、源泉徴収義務も生じます。


福利厚生費として認められやすい制度設計とは?

税務リスクを避け、適正に福利厚生費として認められるには、次のような制度設計が望まれます。

✅ 社内規程を整備する

福利厚生規程などに「保育補助制度」の内容を明記し、対象・金額・申請方法などを明文化しましょう。

✅ 全従業員を対象とする

雇用形態を問わず、一定の要件を満たせば誰でも利用できる制度にすることで、「公平性」が担保されます。

✅ 補助額に上限を設ける

「月額●円までを補助」「●割を会社が負担」など、一定の制限を設けることで、社会通念上の妥当性を示せます。


まとめ

区分 税務上の扱い
全従業員を対象に、制度化された保育補助 福利厚生費(損金算入可)
特定の従業員への保育料肩代わり 給与課税(源泉徴収が必要)
個別に保育料を補助(制度なし) 給与課税の可能性大

保育料の支援は、従業員の定着や働きやすさの向上にもつながりますが、制度の設計を誤ると税務上のリスクが生じます。
きちんとした社内ルールを整備したうえで、「福利厚生費」として認められる範囲で運用することが重要です。

制度導入を検討されている方は、ぜひ税理士にご相談ください。

田中雅樹(税理士)

●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

 

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