ニガテを “半分、強い” に。山梨県中央市の税理士

ふるさと納税に“193万円上限”へ ― 高所得者優遇の見直しと、返礼品への影響は?

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令和8年度税制改正で、ふるさと納税制度に大きな見直しが入ります。

今回のポイントは大きく2つです。

  • 個人住民税の特例控除額に定額上限(193万円)を新設
  • 自治体が実際に使える寄附金割合(活用可能額)を段階的に引上げ

それぞれ見ていきましょう。


1. 特例控除に「193万円」の上限

ふるさと納税は、

  • 所得税の控除
  • 住民税の基本控除(寄附額の10%)
  • 住民税の特例控除

という仕組みで成り立っています。

これまで問題になっていたのが、
住民税の特例控除には上限がなかったという点で、

年収が上がれば、理論上どこまでも控除額が増えていく

という構造でした。

今回の改正では、この特例控除額に

年193万円の定額上限

が設けられます(令和9年寄附分から適用)。

給与収入1億円規模の方であれば、上限に達する可能性があります。

なお重要なのは、

  • 上限がかかるのは「特例控除部分」のみ
  • 基本控除(10%部分)には上限は設けられていない

という点です。

制度全体が大きく変わるというより、
高所得層向けの拡張性を抑える改正といえます。


2. 自治体が“使えるお金”を6割以上に

もう一つの改正は、寄附金の使途に関するものです。

現在でも、

寄附金の募集に要した費用は寄附額の5割以下

とされています。

しかし、今回の改正では

自治体が実際に活用できる額を最終的に6割以上にする

ことが求められます(令和11年10月以降)。

段階的に引き上げられます:

  • 令和8年10月~:52.5%以上
  • 令和9年10月~:55%以上
  • 令和10年10月~:57.5%以上
  • 令和11年10月~:60%以上(完全実施)

背景には、

  • ポータルサイト手数料
  • 外部事業者への委託費
  • 過度な返礼品競争

への問題意識があります。


返礼品はどうなる?

理論上、自治体が外部事業者への手数料を削減できれば問題はありません。

しかし、もし削減できない場合は――

返礼品の調達費用を抑えるしかない

という現実が出てきます。

  • 返礼品の質が下がる
  • 還元率が実質的に低下する
  • 豪華路線が縮小する

可能性は十分あります。

これまで、

  • 純金小判(数百万円寄附)
  • 高級スーツ仕立券(数千万円寄附)
  • コンシェルジュ型高額寄附サービス

といった高所得者向け返礼品が話題になっていました。

今回の改正は、
そうした“拡張型ふるさと納税”を抑制する方向性が明確です。


税理士としての所感

ふるさと納税は、

  • 地方財源の確保
  • 都市部から地方への税移転

という政策目的があります。

一方で、

  • 過度な返礼品競争
  • ポータルサイト依存
  • 実質的な“節税商品化”

という側面も否めませんでした。

今回の改正は、

「制度の持続可能性」を優先した見直し

と感じます。

利用者にとっては劇的な変化ではありませんが、
長期的には“返礼品ありき”の制度から少し距離を置く方向に進むかもしれません。

田中雅樹(税理士)

●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

 

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