役員退職金の損金算入時期 ― 原則と例外、そして実務で迷うポイント ―
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役員退職金の損金算入時期は、シンプルに見えて、実務では判断に迷う場面が多い論点です。
特に、
- 決算またぎ
- 支給と決議のズレ
- 退任時期との関係
このあたりが絡むと難しくなります。
今回は、原則的な考え方と実務上の注意点を整理して解説します。
前提:会社法上は「株主総会決議」が必要
まず大前提として、役員退職金は自由に支給できるものではありません。
定款に定めがない場合、
👉 株主総会決議が必要になります。
これは会社法361条に基づくもので、「報酬等」は株主総会で決定する必要があるためです。
原則:損金算入は「株主総会決議の日」
税務上の基本ルールは非常に明確です。
👉 原則:株主総会決議により金額が確定した日
これは法人税基本通達9-2-28によるものです。
言い換えれば、
- 退任しただけではダメ
- 支払っただけでもダメ
👉 「金額が確定した日」が基準
というのがポイントです。
例外:支払ベースでもOK(損金経理要件あり)
例外として、
👉 支払日の属する事業年度でも損金算入可能
ただし条件があります。
- 実際に支払っていること
- その事業年度で損金経理していること
この2点を満たす必要があります。
ケースで理解する(よくあるパターン)
ケース1:決議が翌期になる場合
- 決算:3月
- 退任:3月
- 支払:3月
- 株主総会:5月(翌期)
👉 原則:5月(翌期)に損金算入
👉 例外:3月(当期)に損金算入も可能(※損金経理が前提)
ケース2:支払が翌期になる場合
- 決議:当期
- 支払:翌期
👉 当期(決議基準)でも
👉 翌期(支払基準)でもOK
注意1:未払計上は基本できない
ここは実務でかなり重要です。
例えば、
- 期末までに株主総会が開けない
- まだ支払っていない
この場合、
👉 未払計上はできません
理由はシンプルで、
- 金額未確定(決議なし)
- 債務未確定
だからです。
注意2:退任していないとアウト
もう一つの重要論点です。
- 決議:3月
- 退任:4月
この場合どうなるか?
👉 3月に損金計上は不可
理由は、
- 退任していない=退職金の支給事由が発生していない
- 債務が確定していない
👉 「退任」>「決議」
の順番が前提になります。
例外的な論点:死亡退職金と相続税
少し応用論点ですが重要です。
期末時点で
- 未払計上できない
- でも死亡退職金として相続税課税される
この場合、
👉 自社株評価では負債計上(純資産控除)
という調整が入ります。
(財産評価基本通達186(3))
取締役会設置会社の場合
中小企業では少ないですが補足です。
取締役会設置会社では、
👉 株主総会で「取締役会に一任」することも可能
この場合、
実質的な確定タイミングは取締役会決議になります。
まとめ(実務の判断軸)
役員退職金の損金算入時期は、次の3点で判断します。
- 退任しているか
- 金額が確定しているか(株主総会等)
- 支払っているか(例外適用)
この中で最も重要なのは、
👉 「退任」と「金額確定」
です。
税理士としての実務ポイント
- 決算直前の退任は要注意
- 株主総会のタイミング設計が超重要
- 「当期で落とせるか」は事前にコントロール可能
👉 事後処理ではなく“事前設計”の論点
です。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

本日記
昨日の金曜キックス。
なんとYBSの森田アナが社を離れるとのこと。
マジかよ…
と思考が停止したところ、続けて、金曜キックスには4月以降も出ると。
マジかよ!
いやはや、嬉しいですね。
今日のラジオ
●金曜キックス