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代表取締役退任後の「引継ぎ業務」は否認されないか?

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代表取締役が退任し、役員退職給与を受け取ったあとも、
しばらく会社に残って経営をサポートする——

実務ではよくある流れです。

ただし、この「引継ぎ」が思っている以上に危険なケースがあります。

今回は、実際に役員退職給与が否認された裁判例をもとに、
税務上の注意点を解説します。


事例の概要(東京地裁 平成29年1月12日判決)

プラスチック製品の製造販売を行う会社において、

  • 代表取締役Cが退任し、約5,600万円の役員退職給与を受給
  • その後、「取締役相談役」として会社に残留

というケースです。

後任の代表取締役は営業部長からの昇格で、
経営面に不安がある状況でした。


問題となった「退任後の実態」

形式上は「退任」しているものの、
実態はどうだったのか。

ポイントはここです。

1. ほぼ現役と同じ働き方

  • 毎日出社
  • 退任前と同じ執務室
  • 代表者会議に出席

2. 意思決定への関与

  • 会議には出ていなくても議事録に決裁印
  • 銀行との融資交渉を担当

→ 銀行側は「実権はCにある」と認識

3. 経営への深い関与

  • 親会社との調整役を担当
  • 後任社長から随時相談を受ける

なぜこのような体制になったのか?

背景としては、

  • C自身が引継ぎなしで苦労した経験がある
  • 後任社長が未経験で不安
  • 「2年間サポートする」前提で社長交代

という、実務的には理解できる事情がありました。


税務上の結論

しかし、税務は“実態”で判断されます。

結果はこうなりました👇

  • 役員退職給与 → 否認(役員賞与扱い)
  • 会社:全額損金不算入
  • 個人:退職所得ではなく給与課税

👉 退職金の税優遇は使えない
👉 会社も損金にできない

という、かなり重い結果になってしまいました。


どこがアウトだったのか?

シンプルに言うと、

👉 「退任していないのと同じ」と判断された

ということです。

特に重要なのはこの3点:

  • 常勤(毎日出社)
  • 意思決定への関与
  • 対外的にも実権者と見られている

このあたりが揃うと、かなり危険です。


実務での対策

同じリスクを避けるためには、次の点が重要です。

引継ぎが終わってから退職金を支給する

→ これが一番安全です。

退任後の関与は「限定的」にする

  • 出社頻度を減らす
  • 会議への参加を制限
  • 決裁権を持たせない

「相談役」の実態に注意

→ 名称ではなく中身で判断されます。


まとめ

役員退職給与は税務上のメリットが大きい分、
形式だけ整えても通用しません。

むしろ今回のように、
「ちゃんと引継ぎしよう」という善意が、
税務上は否認リスクになることもあります。


税理士としての一言

実務的には、

👉 引継ぎは必要
👉 でもやり方を間違えるとアウト

このバランスがかなり重要です。

退任・退職金・引継ぎが絡む場合は、
事前に設計しておくことを強くおすすめします。

田中雅樹(税理士)

●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

 

本日記

みたまの湯へ。
5年ほど前から、夏以外で、ちょこちょこ足を運んでいるというのに。
源泉かけ流し状態にあるのは「高温」だけだと、気付いたのが前回(2週間前)でした。
そんな訳でして、今日はほぼ「高温」の露天風呂で。
やっぱり違いますね。

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