事業承継税制の“その先”が動き出す ― 特例措置の見直し議論から見える実務への影響 ―
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事業承継税制の特例について、いよいよ“次のステージ”に向けた議論が本格化してきました。
中小企業庁は2026年2月27日、親族内承継に関する検討会を開催し、特例措置の適用期限後のあり方について方向性を提示。
今後議論を重ね、2027年度税制改正に向けて結論を出す予定とされています。
この記事では、今回示された論点を整理しつつ、押さえておきたい実務ポイントを解説します。
贈与承継の優位性がデータで明確に
今回の資料で特に注目すべきは、「贈与 vs 相続」の比較データです。
- 承継後5年間の売上推移
→ 贈与承継の方が明らかに成長率が高い - 特に承継1年目から差が顕著
さらに、
- 贈与承継の約6割が「半年以上の助走期間あり」
この“準備期間”が、承継後の成長にプラスに働いていると分析されています。
実務的な示唆
これはかなり重要です。
今後の制度設計では、
👉「早めに贈与で承継する方が合理的」という流れがより強まる可能性が高い、
…ということは、
- ギリギリまで相続待ち、ではなく
- 計画的に贈与承継を進める
という流れが一段と強まると考えられます。
後継者は“1人前提”が現実
特例活用企業の内訳は以下のとおりです。
- 後継者1人:93.7%
- 2人:5.8%
- 3人:0.6%
👉 複数後継者は合計でも6.3%にとどまる
実務的な示唆
制度上は複数後継者も可能ですが、実態としてはほぼ単独承継。
そのため今後の議論では、
- 後継者人数の制限
- 議決権の安定性
といった「ガバナンス重視」の方向に寄る可能性があります。
雇用要件は“緩和方向”が現実的か
雇用確保要件については、
- 8割維持未達でも例外あり(特例)
- それでも約96%が要件達成
という結果が出ています。
ただし同時に、
- 労働人口の減少
- 省人化・効率化の進展
という現実も踏まえ、論点として挙がったのがこちらです。
👉 「雇用人数以外の指標も評価すべきでは?」
例えば:
- 賃上げ
- 生産性向上
- 地域経済への貢献
実務的な示唆
これはかなり大きな転換点です。
今後は単純な人数ではなく、
👉 “質”で評価する承継税制
に変わる可能性があります。
今後の制度は“政策税制”色がさらに強まる
事務局から示された方向性の中で重要なのはこの点です。
生産性向上や地域経済への貢献が見込める企業を対象とすべきではないか
従来は、
「円滑な承継」を目的とした税制
これからは、
「成長する企業を選別する税制」へ
という変化の兆しがあります。
これからの事業承継税制への向き合い方
今回の議論を踏まえると、今後の実務対応は明確です。
“とりあえず使う制度”ではなくなる
要件が高度化し、
👉 選ばれる企業だけが使える制度
になる可能性
承継前の計画がより重要に
- 経営改善
- 計画的承継(特に贈与)
- ガバナンス整理
👉 税理士目線でいえば、税務+経営支援の一体化がより求められる
専門家は早期提案がカギ
特に中小企業オーナーには
- 「まだ先」の話ではなく
- 今から準備すべきテーマ
として伝える必要があります。
まとめ
今回の検討会で見えてきたのは、シンプルに言えばこの流れです。
- 贈与承継をより促進
- 後継者は少数・安定重視
- 雇用要件は柔軟化
- 成長性・地域貢献を評価
そして最も重要なのは、
👉 事業承継税制が“選別型の制度”へ変わりつつあること
です。
2027年度税制改正に向けて、今後の議論次第では実務への影響も大きくなります。
引き続き動向を追いつつ、最新情報を発信していきたいと思います。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

本日記
3連休初日はスポーツクラブがすいています。
そんなわけで、お風呂まで快適に。
ちなみに最終日は混みます。
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