教育資金の一括贈与非課税が終了へ― 2026年3月末期限、延長は見送り、制度は役割を終える方向に
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政府・与党は、教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置(最大1,500万円) について、これまで何度も延長されてきた期限を 2026年3月末で区切り、延長せず終了する方向 で調整していることが報じられました。
制度開始からすでに10年以上が経過しましたが、近年は利用件数が低調で、政策目的を終えつつあるという判断とされています。
■ 制度の概要(おさらい)
教育資金の一括贈与非課税は、2013年に創設された制度で、
- 祖父母や父母が
- 子・孫名義の金融機関の専用口座に
- 一括で教育資金を拠出すると
- 最大1,500万円まで贈与税が非課税
というものです。
使途は限定されており、
- 学校の入学金・授業料
- 塾や習い事の費用
- 留学関連費用 など
教育関連に限定して使う場合のみ、非課税が認められてきました。
■ 利用が減った主な理由
報道によると、制度開始当初は多く利用されたものの、近年は 出生数に対して利用率1%程度 に留まる低水準とのこと。
利用が減少した背景としては、
● 教育費の無償化の進展
- 幼児教育無償化
- 高校授業料の実質無償化
- 一部高等教育の負担軽減
など、公的支援の拡大により「教育資金を一括で準備する必要性」が低下。
● 経済格差を固定化する制度との批判
祖父母の資産を教育目的で孫に非課税で移転する仕組みは、
- 富裕層に偏りやすい
- 格差の固定化につながる
といった指摘が以前から存在していました。
制度見直しの流れの中で「一般的な政策効果は薄い」と判断された面もあります。
■ 制度が“役割を終えつつある”という政府・与党の見解
教育資金の無償化が段階的に進んだことにより、制度の創設当初と比べて、教育費負担の構造が大きく変わってきた 点が大きいでしょう。
もともとは、「教育費負担が重い時代」に資金移転を促す目的がありましたが、公的支援制度が拡充される中で、非課税枠の意義が薄れてきた、という評価です。
■ 今後の対応ポイント(税理士視点)
制度終了が正式に決まった場合、2026年3月末までが実質的な最終チャンスになります。
すでに利用している方
- 既存契約は原則として制度終了後も継続利用できます
- ただし、金融機関ごとに手続きの取り扱いが異なるため要確認
これから利用を検討する方
- 駆け込みの相談が増える可能性があります
- 教育資金の必要額・使途・孫の年齢などを総合的に確認すべき
- 管理・報告が煩雑な制度のため「本当に非課税枠が必要か」を慎重に判断
また、相続・贈与の大きな制度改正(相続時精算課税の使いやすさ向上など)も進んでいるため、教育資金一括贈与に代わる選択肢 も検討する必要がありそうです。
■ まとめ
- 教育資金一括贈与の非課税(最大1,500万円)は 2026年3月末で終了へ
- 利用率の低迷と教育費無償化の進展が背景
- 終了後も既存利用者は原則継続可能
- 最後の申込み期限が近づくため、クライアントへの情報提供が重要
制度終了は“悪いニュース”というより、政策環境の変化に合わせた自然な流れとも捉えられます。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
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