ニガテを “半分、強い” に。山梨県中央市の税理士

ガソリン税の「暫定税率」年内廃止へ──財源は「富裕層課税」や「租税特別措置の見直し」で調整か?

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自民党、日本維新の会と立憲民主党、国民民主党、公明党、日本共産党の与野党6党の税制調査会長などによる実務者協議が、2025年11月5日に開催されました。

与野党6党が「ガソリンの暫定税率を年内に廃止する」ことで正式に合意し、今後の焦点は「失われる税収をどう補うのか?」という“財源問題”に移っています。


🔸 そもそも「暫定税率」とは?

ガソリンにかかる税金は、もともと「揮発油税」と「地方揮発油税」の2種類があります。
このうち、昭和49年に“暫定的な上乗せ税率”として導入されたのが「暫定税率」です。

ところが、この“暫定”が半世紀近く続き、現在では1リットルあたり約25円分が上乗せされている状態。
つまり、レギュラーガソリン1L=170円のうち、約半分は税金という構造になっています。

暫定税率の廃止が実現すれば、理論上ガソリン価格は20円〜25円程度下がることになります。
家計にとってはありがたい話ですが、同時に国としては「巨額の税収減」に直面するわけです。


🔸 消える税収はどのくらい?

暫定税率による税収は、国・地方を合わせて年間でおよそ2.5兆円規模(※財務省推計)とされています。
この規模感は、法人税収(約17兆円)の15%に匹敵するほど。
今後は「2.5兆円の穴をどう埋めるか」が最大の論点です。


🔸 財源候補1 租税特別措置(租特)の見直し

まず挙げられているのが、「法人税関係の租税特別措置の見直し」です。
租税特別措置とは、政策目的のために特定業種・活動に対して税制上の優遇を与える仕組みです。
たとえば、

  • 研究開発税制(R&D税制)
  • 中小企業投資促進税制
  • 特定地域の設備投資減税 など

これらの「租特」は企業にとって税負担を軽くする恩恵がありますが、同時に「税収減要因」にもなります。
会計検査院の報告によると、租特による減税額は毎年5兆円以上
その一部を見直せば、暫定税率廃止による税収減をある程度補える、という狙いです。

ただし、研究開発や中小企業投資など「日本の競争力を支える政策減税」まで削れば逆効果。
したがって、見直し対象は「効果が薄い・恒久化しすぎた租特」などに限定される可能性が高いでしょう。


🔸 財源候補2 「極めて所得の高い層」への課税強化

もうひとつの柱が、超富裕層への課税見直しです。

これは、2025年度税制改正で新設された「極めて高い所得層への負担適正化措置」の強化版を指しています。
この制度では、合計所得金額が約30億円を超える人を対象に、実質的に追加の所得税を課す仕組みです。

背景には、資産家や投資家の中には「株式譲渡益」や「配当」などの分離課税によって、
年収1億円を超えても実効税率が低いという現状があります。
(いわゆる“1億円の壁”問題ですね。)

今回の見直しでは、この「負担適正化措置」の対象を、

  • 数十億円→数億円レベルへ引き下げる案
  • 所得構成の中で金融所得の比率が高い人を新たに対象に含める案

などが議論される見通しです。


🔸 財源の「穴埋め」よりも構造の見直しへ

暫定税率の廃止でガソリン価格が下がるのは朗報ですが、
その裏で「誰がどれだけ負担するのか?」という構図の変化が起こります。

現状の流れをまとめると:

政策 影響を受ける層 内容
暫定税率の廃止 一般消費者が恩恵 ガソリン価格が下がる
租特見直し 大企業・一部業種 減税措置の縮小
富裕層課税強化 超高所得者 所得税の増税方向

「広く薄く負担」から「狭く厚く負担」への転換が進むということです。


🔸 税理士の目線からひとこと

税制は「政治」と「世論」に左右されやすい分野です。
今回のように、“消費者の負担を減らす代わりに、富裕層や大企業に負担を求める”という流れは、ここ数年のグローバルな潮流(富裕層課税の強化、法人減税の見直し)と一致しています。

ただ、法人税関係の租特には、地域経済を支える中小企業も関わるため、単純な「廃止」ではなく「精査」が必要です。
中小企業オーナーの方も、「自社の優遇措置が見直し対象になる可能性」は意識しておくとよいでしょう。


🔸 まとめ

  • ガソリンの暫定税率は年内で廃止
  • 消費者にはメリットがあるが、国には年間2.5兆円の税収減
  • 財源は「租税特別措置の見直し」「富裕層課税の拡大」で検討中
  • 税制改正の流れとして、「負担の再配分」が進んでいる

田中雅樹(税理士)

●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

 

本日記

今年の5月の話。
姪と甥が遊びに来ていました。
その甥、ティアキンをクリアしてみせてくれました。
「◯◯ちゃん、同じゲーム何度やってもつまんないでしょー」
とわたしは言ってしまったのですが、いやいや違うだろと今頃になって。
スティック2本、十字キー1つ、ボタンが10コくらいあるコントローラーで、それらをほぼ全部使うゲーム。
わたしは税理士試験後ブレワイやってみたところ、無理でした。
ネイティブの力はすごいですね。
(小学生がクリアまで持っていけるのもすごい)

今日のラジオ

●滔々咄(石井玄)
●プチ鹿島のラジオ19xx
●マキタ課長ラジオ無尽
●髭男爵山田ルイ53世のルネッサンスラジオ

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