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【注意】決算賞与と社会保険料、損金算入時期は“ずれる”って知ってましたか?

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こんにちは、税理士の田中です。

会社の決算前に「決算賞与」を検討すること、よくありますよね。
「支払は来期だけど、当期の経費にできる!」という特例があるのは有名ですが…
実はここで見落とされがちなのが、社会保険料の取扱いです。

賞与は今期に経費にできても、社会保険料は来期?
今回は、そんな“泣き別れ”になるポイントについて解説します。


■ 決算賞与の損金算入には要件がある

決算賞与を当期の損金にするには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

要件 内容
① 支給額の通知 各従業員に、金額を明確に通知していること(書面が望ましい)
② 翌期1か月以内に支払い 通知日が属する事業年度の期末から1か月以内に実際に支給すること
③ 損金経理 通知日が属する事業年度に損金処理していること

この3つが揃えば、たとえ賞与を支払うのが来期でも、当期の損金にOKというわけです。


■ 一方、社会保険料の損金算入は?

法人税基本通達9-3-2では、社会保険料について以下のように規定されています。

「計算の対象となった月の末日の属する事業年度の損金に算入できる」

つまり、原則として**“その月分”に対応する社会保険料は、その月末時点の事業年度の損金にできる**ということです。

ところが――


■ 決算賞与の社会保険料は、いつの“月分”?

実はここが盲点です。

通常の月額給与とは違い、賞与には「◯月分」という概念がありません。
そのため、社会保険料の対象月は「支給日が属する月」になります。

たとえば:

  • 決算期末:3月31日
  • 決算賞与支給日:4月25日(要件を満たしていれば賞与は3月期に損金OK)

この場合でも、

  • 社会保険料は「4月分」とみなされ、4月期=来期の損金となるのです。

■ 結果:損金算入時期が“泣き別れ”に

内容 損金算入時期
決算賞与本体 当期(通知・要件満たせばOK)
決算賞与の社会保険料 来期(支給月に応じて)

「えっ、まとめて経費にできると思ってた!」
そんな声もよく聞きますが、**このズレが決算処理での“地味に痛いポイント”**です。


■ まとめ:決算賞与=セットで処理、はできない!

  • 決算賞与本体は、通知と支払いスケジュール次第で当期損金にできる
  • でも社会保険料は、実際の支給月ベースなので翌期扱いに
  • 経費処理のタイミングがずれる=税金計算にも影響する

そのため、決算賞与を計上する際は、社会保険料の損金処理は来期になる前提で考えておくことが大切です。

田中雅樹(税理士)

●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

 

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