食品の消費税0%は、本当に家計を助けるのか― 値上げラッシュの中で考える「2年限定減税」の限界 ―
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帝国データバンクの調査によると、今年1月から4月までに値上げが決定している飲食料品は、調味料を中心に酒類・飲料、加工食品など 3,593品目 にのぼります。
こうした状況の中で、衆院選を前に「食品の消費税率を0%にする」という公約がいくつかの政党から掲げられています。
一見すると、物価高対策として非常に分かりやすい政策に見えますが、実際には「思ったほど効果を感じにくいのではないか」という点も冷静に考えておく必要があります。
1. 値上げラッシュの中での消費税0%
現在の食品価格の上昇は、消費税が原因というよりも、
- 原材料価格の高騰
- エネルギーコストの上昇
- 人件費の上昇
といった構造的な要因によるものです。
そのため、消費税を一時的に引き下げたとしても、
上昇している原価そのものが下がるわけではありません。
結果として、消費税分の減税は、
- 値下げ(に見える形)として表に出る
- もしくは、値上げ幅を少し抑える形で吸収される
(モノは値上げ、消費税はナシ で、見かけの値段がほぼ変わらない)
という形になりやすく、「目に見える安さ」につながらない可能性があります。
2.「2年限定」という時限措置の難しさ
今回議論されている食品消費税0%は、恒久的な制度ではなく、2年間限定の時限措置とされるケースが多く見られます。
この「期限付き」であること自体が、実は難しさを抱えています。
企業は価格を決める際、目先の状況だけでなく、数年先を見据えて判断します。
2年後に消費税率が元に戻ることが分かっていれば、その前提で価格設定を行うことになります。
仮に、減税を受けて一時的に値下げを行った場合でも(一時的に値下がったように見えても)、
- 2年後には消費税率の引き上げによる再値上げ
(モノの値段は不変でも、消費税が0→8%に戻って値上げに見える) - その間に進む原価や人件費の上昇
(モノが値上がって、かつ、消費税が0→8%に)
が重なり、再び価格を引き上げざるを得なくなる(8%に戻った消費税を上乗せせざるを得なくなる)可能性が高いのです。
こうした事情から、企業側は、消費税が期間限定で0になっても
- 大きな値下げは行わず
- 減税分を原価上昇の吸収に充てる
という判断をしやすくなります。
また、消費者側も「どうせ一時的な措置だ」と受け止めれば、
生活スタイルや購買行動を大きく変えるほどのインパクトにはなりにくいでしょう。
その結果、価格転嫁は続き、減税の恩恵だけが薄まってしまう可能性があります。
3. 減税=値下げ、とは限らない
消費税率が下がると、「必ず価格も下がる」と思われがちですが、現実はそこまで単純ではありません。
特に、
- 期限付きの減税
- 原価上昇が続く局面
では、減税の効果は「値下げ」ではなく、「値上げの緩和」にとどまることが多くなります。
そのため、家計としては
「税率は下がったはずなのに、あまり安くなった気がしない」
という感覚を持つ可能性もあります。
おわりに
食品の消費税0%は、分かりやすく訴求力のある政策です。
しかし、その効果を正しく評価するためには、
- 原価構造
- 企業の価格決定行動
- 時限措置であることの影響
といった点もあわせて考える必要があります。
「減税=必ず家計が楽になる」と短絡的に捉えるのではなく、
どのような形で、どの程度、生活に影響するのかを冷静に見極めることが大切だといえるでしょう。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

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