令和8年度税制改正大綱「第三 検討事項」を読み解く|今後の税制はどこへ向かうのか
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※本記事を読む前に
この記事で取り上げる「令和8年度税制改正大綱・第三 検討事項」は、
現時点で決定された税制改正の内容ではありません。
あくまで政府・与党が
「今後、こうした論点について検討していく必要がある」
と整理した検討課題の一覧です。
したがって、
・必ず改正されるとは限らない
・内容や方向性が今後大きく変わる可能性がある
という点には注意が必要です。
その前提に立ったうえで、
「今後の税制がどの方向を向いているのか」
「どんな論点が俎上に載せられているのか」
を把握するための読み物として、本記事をご覧いただければと思います。
1.年金課税:少子高齢化の中で“全体設計”を見直す
年金課税は、少子高齢化で年金受給者が増える中、世代間・世代内の公平を確保しつつ、
- 公的年金と企業年金など各種年金制度のバランス
- 貯蓄・投資商品への課税との関係
- 給与課税とのバランス
などに留意して、「拠出→運用→給付」まで通した課税のあり方を総合的に検討するとしています。
2.デリバティブ:金融所得課税の“さらなる一体化”を検討
デリバティブ取引については、金融所得課税の一体化を進める方向で、特に意図的な租税回避を防ぐ方策に関するこれまでの検討成果を踏まえて、総合的に検討するとされています。
3.小規模企業等:個人事業主課税と“控除の全体像”を見直す
小規模企業等の税制については、
- 働き方の多様化
- 同族会社や給与所得者との課税バランス
を踏まえつつ、個人事業主の「勤労性所得」への課税のあり方にも配慮するとしています。
そのうえで、正規の簿記による青色申告の普及も含め記帳水準を上げながら、
「給与所得控除などの“所得の種類に応じた控除”」と「人的控除」のあり方を、所得税・法人税を通じて全体として見直すことも含め検討を進める
——という書きぶりです。
4.原料用石油製品等:免税・還付措置の“本則化”を引き続き検討
原料用石油製品等に係る免税・還付措置については、本則化(=恒久措置化)を引き続き検討するとだけ記載されています。
5.事業税:社会保険診療報酬の非課税・医療法人の軽減税率を検討
事業税に関して、
- 社会保険診療報酬に係る“実質的非課税措置”
- 医療法人に対する軽減税率
について、税負担の公平性と地域医療の確保の観点から、あり方を検討するとしています。
6.外形標準課税:電気・ガス供給業の「収入金額課税」を引き続き検討
電気供給業・ガス供給業に係る、収入金額による外形標準課税については、
- 地方税体系全体での位置付け
- 個々の地方公共団体の税収への影響
も考慮しながら、事業環境や競争状況の変化を踏まえて課税のあり方を引き続き検討するとされています。
さいごに
今回の「第三 検討事項」は、
国民にすぐ影響が出る改正案というよりも、
中長期的に税制をどう組み立て直していくかという問題提起が中心です。
年金課税、金融所得課税、個人事業主と給与所得者のバランスなど、
いずれも「先送りされがちだが避けて通れないテーマ」ばかりが並んでいます。
現段階では憶測で結論を語るよりも、
「何が検討対象になっているのか」を正確に押さえることが重要です。
今後の税制改正の議論を追う上で、
この「第三 検討事項」は、いわば地図のような位置づけになると言えるでしょう。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

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