【令和8年度税制改正大綱】少額減価償却資産の特例が見直しへ|30万円→40万円に引上げ、でも「年300万円」は?
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令和8年度税制改正大綱の中で、中小企業・個人事業者にとって実務インパクトが大きい改正のひとつが、
**「少額減価償却資産の特例」**です。
今回の大綱では、制度の延長とあわせて、取得価額基準の引上げが明記されました。
そもそも「少額減価償却資産の特例」とは?
まず前提の整理です。
中小企業や個人事業者は、一定の要件を満たせば、
- 取得価額30万円未満の減価償却資産について
- 取得した年に全額を損金(必要経費)にできる
という特例を使うことができます。
本来なら、パソコン・機械・設備などは数年に分けて減価償却しますが、
この特例を使えば一気に経費化できるため、節税・資金繰りの両面で重宝されてきました。
ただし、この特例には重要な制限があります。
1年間で合計300万円まで
という上限です。
令和8年度改正で何が変わるのか?
大綱104ページ(5)では、次のように書かれています。
制度創設以降の価格動向等を踏まえ、
30万円未満となっている取得価額の基準を40万円未満に引き上げた上で、3年延長する
つまり、今回ハッキリ書かれているのはこの2点です。
1. 取得価額基準が「30万円未満 → 40万円未満」に引上げ
- これまで:29万9,999円まで
- 今後:39万9,999円まで
実務的にはかなり大きな変更です。
これまで「30万円を超えるからダメだった設備」が、一気に対象に入ってきます。
2. 制度は3年間延長
現行の「30万円未満」は2026年3月31日まで。
「40万円未満」は、2026年4月1日から2029年3月31日までです。
「年300万円まで」はどうなるのか?
では「年300万円まで」の上限はどうなるのでしょう。
結論から言うと、
👉 大綱には「年300万円」の見直しについては一切書かれていません。
つまり、
- 取得価額の上限:40万円未満に引上げ
- 年間合計の上限:現行どおり300万円のまま
と読むのが、現時点で最も素直で安全な解釈です。
税制改正大綱は、「変える点ははっきり書く」。
もし年300万円を引き上げる、あるいは撤廃するのであれば、
必ず何らかの言及が入ります。
それがない以上、
「取得価額は広げるが、使いすぎ防止の300万円枠は維持」
という政策判断だと考えるのが無難でしょう。
実務的にどう影響する?
今回の改正で、実務はこう変わります。
- 1台35万円の機械
- 40万円弱のIT機器
- 周辺機器込みで30万円超(40万円未満)になるケース
これらが、減価償却せず一括経費化できます。
一方で、
- 年300万円の枠は引き続き意識が必要
- 「まとめ買い」しすぎると上限に引っかかる点は変わらない
という点は、これまでと同じです。
まとめ|使いやすくはなるが、無制限ではない
今回の少額減価償却資産の見直しは、
- ✅ 物価上昇を踏まえた現実的な基準引上げ
- ❌ 何でも即時経費にできるわけではない
特に中小企業・個人事業者にとっては、
「30万円を少し超えるから…」と悩んでいた設備投資が
判断しやすくなる
という意味で、地味だけど効く改正と言えるでしょう。
特にパソコンですよね。
2026年初頭から、値上げの可能性が高いみたいですから。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

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粗品さんのアドバイス、愛があると思います。