食品の消費税0%で、飲食店は本当に「大変」になるのか― 仕入税額控除の話がややこしくなる理由 ―
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食品の消費税率を0%にする、という公約が
衆院選を前に複数の政党から出ています。
この話題の中で、
最近よく聞くのが、
「飲食店の消費税負担が大変になる」
「何らかの仕入税額控除の手当てが必要ではないか」
という議論です。
ただ、制度を冷静に見ていくと、
少し整理が必要な部分があります。
食品0%なら、仕入れも0%になる
まず前提として。
食品の消費税率が0%になれば、
飲食店にとっての食材の仕入れも、当然0%です。
- 仕入時に消費税を払わない、だから
- 仕入税額控除も発生しない
これは、制度上はごく自然な話です。
仕入税額控除が0になるのは「不利」ではなく、
そもそも税を払っていないから控除できない
というだけのことです。
それでも「負担が大きい」と言われる理由
では、なぜ
「飲食店が大変になる」という話が出てくるのでしょうか。
ポイントは、
売上側は0%ではない可能性がある、という点です。
仮に、
- 食材(仕入れ)は0%
- 店内飲食やサービス部分は課税
という整理になると、
- 売上には消費税がかかる
- 仕入れには消費税がかからない
結果として、
売上税額 − 仕入税額控除 = 納付税額
が、相対的に大きく見える、という現象が起きます。
「仕入税額控除を別に設ける」という発想
ここから出てくるのが、
- 何らかのみなし仕入税額控除
- 特別な控除制度
といったアイデアです。
ただ、これをやり始めると、
- 実際に払っていない税額を控除する
- 理論上は存在しない税を「あるもの」として扱う
という、
消費税の基本構造から外れた制度になります。
簡易課税(第4種)を持ち込むとどうなるか
もう一つ想定されるのが、
簡易課税制度の第4種(みなし仕入率60%)
のような仕組みを使うのでは?
という見方です。
ただ、これも簡単ではありません。
- 現行の簡易課税は「課税仕入れがある」前提
- 仕入れ自体が0%になると、制度の整合性が崩れる
結局、
簡易課税“風”の新制度を作る
という話になり、
制度は一気に複雑になります。
(基準期間の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度を選択する― …という現行認められた手続きであれば、もちろん問題はありません。)
税理士として感じる違和感
税理士として感じるのは、
- 食品0%というシンプルな話が
- 飲食店対応を理由に
- 別の複雑さを連れてきている
という点です。
「困る人が出るから何か手当てを」
という発想自体は理解できます。
ただ、
- 誰を
- どこまで
- どうやって
救うのかを曖昧にしたまま制度を足すと、
現場の事務と理解コストだけが増える結果になりかねません。
まとめ
食品の消費税率が0%になれば、
- 食材の仕入れも0%
- 仕入税額控除が0になるのは制度上あたりまえ
です。
そこに無理に控除制度を足すと、
消費税の仕組みそのものが分かりにくくなります。
食品0%の議論は、
「助かるかどうか」だけでなく、
制度としてどこまで耐えられるかも含めて考える必要がありそうです。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

本日記
我が家の愛猫、網戸越しにニャルソックするのが好きでして。
ただここ数日は強風の日がおおくて、長時間は難しい。
SNSなど見ておりますと、ベランダにネットを張って擬似的に外出できるようにしていたり。
飼い主のみなさん、アイデア豊富でびっくりします。
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