食品の消費税0%、本当に「助かる」制度なのか― 選挙前に出ている公約を税理士目線で整理する ―
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衆院選を前にして、
消費税の「食品0%」を掲げる公約が、いくつかの政党から出ています。
物価高が続く中、
毎日の食費にかかる消費税をゼロにする、という提案は
一見すると分かりやすく、支持を集めやすい政策です。
ただ、税理士の立場から見ると、
**「助かる面」と「見落とされがちな面」**の両方があります。
今回は、賛否ではなく、
食品0%の長所と短所を整理してみます。
食品0%の「分かりやすいメリット」
1. 家計への即効性がある
食品は、
- 所得の多寡にかかわらず
- ほぼすべての人が毎日支出するもの
です。
消費税が0%になれば、
買い物のたびに実感として「安くなった」と感じやすく、
即効性のある家計支援策になります。
2. 申請不要で、誰でも対象になる
給付金や補助金と違い、
- 申請手続きが不要
- 所得制限もない
という点も、大きな特徴です。
「知らなかったからもらえなかった」
という事態が起きにくいのは、確かにメリットです。
見落とされがちなデメリット
一方で、食品0%には
あまり語られない課題もあります。
1. 事業者の事務負担は軽くならない
「税率が下がるなら、事務も楽になるのでは?」
と思われがちですが、実際はそう単純ではありません。
- 食品かどうかの判定
- 軽減税率との線引き
- インボイスとの整合性
など、
現場の事務はむしろ複雑になる可能性があります。
2. 消費税収が大きく減る
食品は消費税収の中でも割合が大きく、
税率を0%にすると、国・地方の税収は大きく減ります。
減った分は、
- 他の税で補うのか
- 社会保障を削るのか
- 国債で賄うのか
といった議論が、必ず必要になります。
3. 高所得者ほど恩恵が大きくなる側面
食品0%は、
誰にとっても同じ税率ですが、
- 支出額が多い人
- 外食や高額食品を多く利用する人
ほど、
金額ベースでは恩恵が大きくなる仕組みでもあります。
この点は、
「本当に困っている層にどれだけ届くのか」
という議論につながります。
税理士として感じること
食品0%は、
「良い・悪い」で切れる制度ではありません。
- 分かりやすさ
- 即効性
- 事務の現実
- 財源の問題
それぞれをどうバランスさせるか、
という話だと感じています。
選挙前になると、
どうしても「キャッチーな数字」だけが一人歩きしがちですが、
税制は、導入後の運用まで含めて考える制度です。
まとめ
食品の消費税0%は、
- 家計支援として分かりやすい、一方で
- 事務や財源の課題も大きい
という、光と影のある政策です。
賛成か反対かを決める前に、
「どういう制度なのか」を知ること自体が、
税リテラシーを高める一歩だと思います。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

本日記
衆院選の党首討論をYouTubeで。
各党の代表もしくは代表クラスが出揃って、なかなか見応えがありました。
今日のラジオ
●金曜キックス
●安住紳一郎の日曜天国
●芹ゆう子 お気づきかしら(仮)