「お花代」は経費になる?──宝塚チケット問題から考える「慣習」と「税務」
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2025年11月9日、
「入手困難な宝塚チケットを私設ファンクラブ経由で購入できるものの、“お花代”という名目で別途支払いが求められる」
という報道がありました。
ファンにとっては「応援の気持ち」「お礼」のようなものですが、この“お花代”、税務上はどう扱われるのでしょうか?
■ そもそも「お花代」って何?
宝塚などの舞台ファンの間では、「お花代」と呼ばれる慣習があります。
これは、出演者に対する応援や感謝の気持ちとして、ファンクラブを通じて贈る金銭や品物のことを指します。
本来は純粋な「贈り物」ですが、ファンクラブを通じてチケット確保などの“見返り”がある場合、性質が変わってくる可能性があります。
■ 税務上は「経費」になる?
結論から言えば、通常は経費になりません。
「お花代」は基本的に、個人的な趣味・嗜好に基づく支出と考えられます。
したがって、事業所得や経費と直接関係がないため、税務上の必要経費として認められることはまずありません。
■ ただし「例外」もゼロではない
ごく一部、次のようなケースでは「経費」として扱える余地があります。
- 芸能関係者や広告業などで、宝塚出演者との関係維持や情報収集が明確に事業目的に必要といえる場合
- 取材活動などで、観劇やファンクラブとの交流が業務の一部になっている場合
このように、支出と事業との関連性が客観的に証明できるかどうかがポイントです。
単に「応援したいから払った」では、経費性は認められません。
■ 「お花代」を払った側にも「贈与税」は?
一方で、贈られる側(出演者側)にとっては、「お花代」は課税対象になる場合があります。
- 「出演者個人が自由に使える金銭」であれば、雑所得や一時所得として扱われる可能性
- 「ファンクラブを通じて管理され、個人の所得にならない」場合は課税対象外となることも
ただし、現実には金額が小さく、また慣行的に把握が難しいため、課税実務上はグレーゾーンになりがちです。
■ 慣習だから大丈夫?──「税務の世界」では通じない
日本の芸能・伝統芸能の世界には、長年続く“慣習的な金銭授受”が少なくありません。
しかし税務の世界では、「慣習だからOK」は通用しません。
「何の目的で」「誰が」「何に対して」支払ったのか、
この3点を明確にできないお金の流れは、税務上のトラブル(経費否認・申告漏れ)につながる可能性があります。
(注:元の記事は「事業者が支払ったお花代」ではないですけれどね)
■ まとめ:「お花代」は気持ちで、経費ではない
- 基本的には個人的支出(経費にならない)
- 受け取る側は所得扱いとなる可能性あり
- 慣習的な支払いでも税務上の位置づけは要注意
「お花代」という言葉の響きは柔らかいですが、税務の世界では“れっきとしたお金のやり取り”として見られます。
税務署から質問を受けた際に説明できるよう、領収証・メモ・通信記録など、支出や目的の記録を残しておくことが大切です。
💬 編集後記
宝塚に限らず、芸能界では“ファン文化”と“お金の流れ”が複雑に絡み合っています。
今回のニュースをきっかけに、「慣習」と「税法の原則」は必ずしも一致しないことを、少しでも多くの方に知ってもらえればと思います。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

本日記
この「お花代」、元記事では『チケット転売に当たる可能性』と書かれていました。
チケット転売、今や厳しく規制されていますもんね。
違法性とか、そのあたりの法律には明るくありませんが。
転売自体に違法性は無いと思いますが、軽い気持ちでするのは(重い気持ちでも?)やめておいたほうがいいでしょうね。
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