中小企業の、こわい交際費の使い方──東京地裁の判決から学ぶ
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今回は「交際費の扱い」をテーマに、ある裁判例をもとにお話しします。
令和5年5月12日の東京地裁判決では、納税者の主張が一部認められた部分と、認められなかった部分の両方がありました。
なぜ一部の交際費が認められなかったのか
この裁判で「交際費として認められなかった」部分について、その理由は主に次の3点です。
- 支払った事実そのものを立証できなかったもの
- 接待した相手方を立証できなかったもの
→ 中には“社長の一人飲み”と見られたケースも - その他、証拠が不十分なもの
相手方の未立証と、銀座豪遊も論点に
裁判では、問題となった交際費の一覧表が証拠として提出されていました。
大半がクレジットカード決済で「日時・店名・金額」は明確になっていたものの──
接待相手の情報までは立証できませんでした。
ちなみにその一覧表を見てみると、銀座のクラブなどでかなりの高額支出が見られました。
(高額は目を引きます→不明点は徹底的に聞かれます)
しかし常連であれば、店側も協力してくれるのでしょう。
店側に照会すれば「来店日・人数」の記録が残っていることもあるため、後から確認ができたものもあったようです。
接待を行う際に、必ず徹底したいポイント
税務調査で、交際費は必ずチェックされます。
「うっかりしていた」で済まないことも多い項目です。
次の点は、必ず意識しておきましょう。
✅ 領収書を必ずもらう
クレジットカードの明細だけでは、インボイス要件を満たしません。
✅ 白紙・金額のみの領収書は避ける
日付が抜けていると、後で全くわからなくなります。
✅ 相手先・参加者・関係性をメモしておく
領収書や経費帳に次のように記載を。
「A株式会社・営業部 日本太郎部長ほか10名(卸売先)」
この程度でも十分です。
人数が多い場合でも、「誰と・どんな関係で」行った接待かが分かるようにしておきましょう。
小さな手間が、大きな防波堤になる
交際費の整理はたしかに面倒です。
しかしその都度のひと手間が、後の大きなトラブルを防ぐことになります。
いざ税務調査で「証拠がない」となれば、当時のことを思い出すだけでも相当な労力がかかります。
「今、少し丁寧に記録しておく」
これが、将来の自分を助けるいちばん確実な方法です。
📘 まとめ
- 領収書は必ず受け取る
- 日付・金額・相手先を明記
- 関係性をひとこと添えておく
交際費の扱いは、誠実な経営姿勢がそのまま表れる部分です。
目先の処理だけでなく、「信頼を積み重ねる経理」を意識していきましょう。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日
過日記
今月3日に書いた「本日記」は、実は前日に書いたものでした。
税理士会の旅行があって、23時過ぎの帰宅が濃厚だったので。
実際は、ステーキのサイズが小さく、肉以外の料理のほうが多かったこともあり、衣服にほとんどにおいは付着せず。
焼肉屋のイメージで書いておりました。
今日のラジオ
●東京ポッド許可局
●オードリーのオールナイトニッポン
●服部廉太郎のここでしゃべらせてください!