税理士を変えると税務調査になるの?― 本当にある“2つのリスク”を税理士が解説 ―
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「顧問税理士を変更すると税務調査が来るらしい」
そんな噂を聞いたことはありませんか?
結論から言うと、税理士を変えたこと自体が理由で税務調査になることはありません
ただし、税理士を変更したことが間接的に税務調査を誘発する可能性はあります。
今日は、実務で本当に起こり得る “2つのケース” を、税理士目線で分かりやすく解説します。
1. 勘定科目の体系を変えたことで、数字が大きく変動する場合
税理士が変わると、次のように 勘定科目を整理し直す ことがあります。
- 売上の一部を「雑収入」に振り替える
- 外注費を売上原価へ移動させる
- 福利厚生費から保険料へ付け替える
- 多額の雑費・手数料を細分化する…など
経営数字を見やすくするための改善であれば、まったく問題ない行為です。
しかし、これにより、
- 科目ごとの金額が大きく動く
- 売上総利益や原価率が大きく変わる
といった「変動」が起きると、税務署が気づくことがあります。
※ あくまで“可能性”であり、勘定科目を変える=調査ではありません。
◆ 対策:補助科目(サブ勘定)で細分化する
「科目を細かくしたいけど、数字が動くのは避けたい」
という場合は、補助科目を活用するのが安全です。
例:雑費
・雑費(研修関連)
・雑費(備品)
・雑費(取引先対応)
といった形で枝番を付ければ、税務署に怪しまれる「前期比較の大きな変動」を避けつつ、分析もしやすくなります。
(そもそも「雑費」勘定はオススメできませんが、前の税理士が好んで使っていたりすれば…)
2. 前の税理士が税務署に“税務上の疑義”を伝えた場合
前の税理士とよくない別れ方をした場合起こり得るのが、前の税理士から税務署への情報提供(いわゆる“タレコミ”)です。
税理士は職務の中で、
- 税務上のリスクがある処理
- 同族関係者の不正の可能性
- 根拠資料を伴う問題点
などがあれば当然に気付き、社長に伝えるはずです。
それが解決しないまま顧問解除となれば、税務署へ情報提供することも起こり得ます。
税務署に来るタレコミは、8割以上が根拠のない雑情報と言われているようですが…
- 元配偶者
- 元経理担当者
- 元顧問税理士
など“中の事情を知る人”からの情報は、非常に具体的。
証拠となる資料が添付されて来ることもあるでしょう。
となれば、税務調査につながる可能性が高い といえます。
◆ 過去5年(不正なら7年)さかのぼる可能性も
「前に調べられた年だから、もう調査は来ない」
は通用しません。
具体的な情報提供があれば、過去5年分(不正があれば最大7年) が調査対象になります。
また、内容によっては 重加算税 もセットに。
延滞税の計算も大きく変わってきます。
◆ まとめ
税理士を変えても、そのこと自体が“税務調査の理由”になることはありません。
ただし、
- 勘定科目を変更したことで経営数字が大きく動いた
- 前の税理士(または関係者)が税務署へ情報を伝えた
これらがある場合は、調査リスクが高まることがあります。
◆ もし顧問税理士を変えたいなら
安心して変更できるよう、以下をおすすめします。
- 科目体系は極力変えず、補助科目で整理する
- 過去の処理で不安がある部分は、早めに新税理士に相談
- 前の顧問税理士と揉めている場合は特に注意
税理士を変更するなら、会社の経営にとってプラスになるようにしたいもの。
不安がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

本日記
しばらくぶりの洗車。
キレイになってスッキリしました。
それにしても寒いですね。
乾燥が寒さに輪をかけている感があります。
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