【盲点】青色申告が取り消される理由とは?現金勘定・帳簿保存・調査への非協力…ポイントをわかりやすく解説
スポンサーリンク
青色申告には大きな節税メリットがあります。
しかし、そのメリットは「帳簿を適正に備え・保存している」という前提で与えられているもの。
日常の経理で何気なく行っている処理の中には、
青色申告の取消事由(=青色が取り消される原因)になり得るポイント
が潜んでいます。
以下、意外と盲点になりやすいそのポイントを初心者向けに整理します。
1.現金勘定を使わず「代表者貸付金・借入金」で処理しているケース
小規模法人では、
- 現金勘定を使っていない
- 代表者貸付金や代表者借入金で管理している
というケースはままあります。
実務上、これで否認されることはほとんどありません。
しかし、法の建前上は問題がある ことを知っておく必要があります。
■裁決が指摘した「問題点」とは?
青色申告を維持するには、現金出納に関する記録を帳簿として備える義務がある
にもかかわらず、
- 日々の現金残高がわからない
- 日付・取引内容が特定できない
といった状態では、
「帳簿の備付け義務違反」とされ、青色取消事由に該当する
という判断が過去の裁決で示されています。
✔とはいえ実務ではどうか?
現金を本当に会社が持っているのか、それとも代表者個人の財布なのか、その線引きは難しいため、実務上はすぐ青色取消につながるような場面は極めて稀です。
とはいえ、
- 現金勘定を設ける
- 最低限、入出金の記録を残す
といった体制整備をしておくことは望ましいといえます。
2.現金出納帳は必須? → いいえ、代替帳簿でOK!
初心者が勘違いしやすいポイントですが、
✔「現金出納帳」という名前の帳簿が必ず必要
…ではありません。
別の帳簿(元帳など)に 日付・内容・金額・残高 が記載されていれば要件を満たします。
3.税務調査へ非協力 → 青色取消 → 推計課税に注意!
帳簿を提示しない(拒否する)と、青色申告が取り消されることがあります。
さらに、
✔青色取消後は「推計課税」が行われやすい
です。
推計課税とは、税務署が
同業他社などの数字を参考にして税額を推計する
方法です。
■ただし後から挽回できるケースもある
過去の裁決では、
- 納税者が後から帳簿や証拠書類を提出
- 税務署の推計より「実額計算が妥当」と判断
→ 推計課税が取り消された例 もあります。
ただし、
- 青色申告取消は有効
- 税務署の推計は一旦正当
と扱われています。
4.帳簿の紛失(火災・水害など)はどう扱われる?
「不可抗力で帳簿を失くした場合」はどうなるのでしょうか?
裁決では、
✔天災・事故など“やむを得ない事情”があれば、税務署長の裁量で青色取消をしないことも可能
とされています。
■ただし“やむを得ない”と認められるハードルは高い
例えば、
- 漏水がある倉庫に防水措置をせず保管
- 紛失後も適切な回収措置を取っていない
- 調査直前まで税務署へ報告していない
などの場合は、
納税者側の管理不足と判断され、不可抗力とは認められません。
✔帳簿だけでなく領収書などの保存書類も同様
青色申告者は領収書・請求書などの保存義務もあります。
「帳簿だけ守っていればOK」ではありません。
5.まとめ:青色申告を守るために最低限知っておきたいこと
最後に、今日のポイントをまとめます。
✔青色申告が取り消されやすいケース
現金取引の記録がずさん
- 現金残高が合わない
- そもそも現金勘定を使っていない
- 記録に日付がない
② 税務調査に非協力
→ 帳簿提示拒否は青色取消の定番理由
③ 帳簿・書類の保存が不十分
→ 紛失は多くの場合「管理不足」と判断される
✔青色取消を避けるために必要なこと
- 現金勘定を設け、入出金を記録
- 帳簿・領収書は適切な環境で保存
- 調査には協力(トラブル時は専門家へ相談)
- 不可抗力で帳簿を失った場合は即税務署へ連絡
青色申告は、節税メリットが大きい一方で、
「帳簿を適切に備え・保存する」ことが最大の条件
であることを忘れてはいけません。
田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日

本日記
税理士会の忘年会に初参加。
なんと司会が、元YBSアナウンサーの田中千尋さんでした。
あまりの透明感に顔がひきつりましたが、ラジオ愛を伝えることはできました(たぶん)。
今日のラジオ
●滔々咄(石井玄)